大阪府警捜査1課は1月25日、交際していた女性(23)を殺害したとして、殺人容疑で、阿倍野署の男性巡査長(26=同府寝屋川市)を逮捕した。
逮捕容疑は、24日午前7時45分から8時40分ごろの間、大阪市東住吉区東田辺のマンションで、8階に住んでいた交際中の病院事務員の女性の首を絞めて窒息死させた疑い。
巡査長は13年4月から1年間、東日本大震災に伴う関連業務のため宮城県警に出向。女性は山形県出身で、宮城県の大学に通っていた。2人は出会いイベント「街コン」で知り合い、同年5月頃から交際を始めた。
当時、巡査長には別に交際していた女性がおり、二股交際の末、14年8月に、その女性と結婚。殺害した女性には、結婚したことを内緒にして交際を続けていたが、同年12月にばれて、トラブルに発展したようだ。
24日朝、女性が出勤しないため、勤務先がマンション管理会社に連絡。管理会社が東住吉署に通報した。駆け付けた署員が部屋に入ったところ、浴槽内に服を着たまま、うつぶせで死亡している女性を発見した。
同日、巡査長は非番だったが、犯行後、タクシーで阿倍野署に移動。何食わぬ顔で、剣道の稽古をして、同僚と昼食を取った後、帰宅していた。
マンションの防犯カメラの映像を調べると、巡査長によく似た男が出入りする様子が映っていたため、同日夜、任意同行を求めた。当初、巡査長は関与を否定していたが、25日になって、「別れ話をしたら、交際していたことを、奥さんや警察に言うと言われ、カッとなった」と容疑を認めた。
防犯カメラの映像によると、巡査長とみられる男は24日午前7時45分頃、マスク姿で黒色ジャンパーのフードを頭にかぶり、エレベーターで女性の部屋に向かっていた。約1時間後、フード付きの上着に薄茶色のジャンパーを重ねた服装に着替え、非常階段で1階まで下りた。
凶器とされるのは、かばんに入れていたベルトで、剣道の稽古をした際、署内で捨てた。供述に基づき、阿倍野署のごみ集積所で見つかった。
行きと帰りで着替えていた点、マスクをしたり、非常階段で下りるなど目立たぬよう出入りした点、凶器を用意していた点などから、府警は計画的犯行の可能性があるとみている。
巡査長は06年4月に府警に採用され、守口署を経て、宮城県警に出向。14年4月からは、阿倍野署地域課に勤務していた。剣道は五段の腕前だった。過去に処分や注意は受けていなかった。
女性は14年3月に大学を卒業し、巡査長の後を追うような形で、大阪市内の病院に就職していた。
府警の警察官が殺人容疑で逮捕されるのは、83年以来で、府警の大村喜一監察室長は「遺憾の極み。捜査結果を踏まえ厳正に処分する」とコメントした。
(蔵元英二)