海外ニュースサイト『The Straits Times』が3月5日に伝えた内容によると、イギリス・マンチェスターに住む55歳のジョアンさんは、末梢動脈疾患という病気で、左足を切断しなければならなくなってしまったそうだ。ジョアンさんは、切断後の自分の足が捨てられることに絶望し、何かいいアイデアはないかと考えていたという。そこで思いついたのが、切断された自身の足の皮膚を再利用し、ハンドバッグを作ることだったのだ。
壮絶とも言える計画だが、ジョアンさんはすでに準備にとりかかっている。衣料に携わる職人を探すマッチングサイトを使って、このバッグを作ってくれる職人の募集を開始しているそうだ。報酬は3000ポンド(約44万円)とのこと。デザインはジョアンさん自身がすでに決めているという。
同記事では、ジョアンさんが「私のことを奇妙だと思う人もいるかもしれないが、自分の足が知らないところに捨てられて腐っていくなんて考えたくない。自分の体の一部を守りたいだけ」と語っていたことを紹介している。その一方で、「一般的なレザーのバッグと基本的には同じ。ただ人間のレザーを使うだけ」と話していたとも紹介しており、このニュースを知った人からはさまざまな意見が寄せられているようだ。
実際、人間の皮膚で作ったカバンが一般的なレザーバッグと同じような見た目、製造方法でできるのかは同記事内では触れられていない。しかし何人かの職人とは前向きに話し合っているものの、今のところ合意には至っていないようで、一筋縄では行かないのかもしれない。
だが、ジョアンさんに共感する人からは「気持ちが分かる。私もそうしてほしいと言うと思う」「彼女自身が変なことかもしれないと分かっているし、それが実現するならば素敵なこと」「切断手術は残酷なこと。こういった悲しい経験の後には、思いやりのある対応が必要」などと賛同する声が寄せられている。
しかし、倫理的に問題があるのではと考える人もいる。「私は彼女を助けたいと思わない。体の一部を持ち歩くなんて猟奇的な考え」「周りが見たら気分が悪くなると思う。皮膚のバッグを作ることの本当の問題に向き合うべき」「おかしなアイデア。完成したら、たぶん彼女はそのハンドバッグを使いたいと思わないと思う」など、否定的な意見も少なくはない。
ヨーロッパでは出産とともに排出されるプラセンタ(胎盤)を医療や美容で必要とする人のために寄付したり、庭に埋めて果実の木を育てたりすることもあり、切り離された体の一部を大切にする文化があるのかもしれない。しかし足の皮膚をモノに再利用するとなると、さまざまな議論を呼ぶことも納得できるだろう。