ジャイアンツといっても、王監督の古巣・巨人ではなく、大リーグの名門中の名門、サンフランシスコ・ジャイアンツのことである。
「王さんはこれまで巨人から何度か、帰ってきて監督をもう一度やってほしい、とオファーがあった。しかし、王は拒否。さすがの巨人も王さんの頑固さにまいったようです。王監督は、二度と巨人には戻らない、と言っていると聞いています。でも大リーグのジャイアンツとなれば話は別でしょうね」(ベテラン記者)
実は、王監督は巨人にプライドをズタズタにされたことがある。巨人監督を一方的に解任され、放り出された過去がある。当時の担当記者が語る。
「正力亨オーナーからペナントレースの終盤、4試合を残してクビを言い渡されたのです。いくらなんでもシーズン中はないでしょう。選手としてチームに多大な貢献をしたという自負が王さんにはあるから、そのひどい仕打ちに涙を流したそうです。以後、巨人の名前は王さんの頭の中から消えています」
大リーグのジャイアンツは今年、記念のシーズンを迎える。フランチャイズをニューヨークからサンフランシスコに移して50年なのである。これはドジャースも一緒で、両チームとも“記念イベント”は華々しく行う予定だ。
ご存知の通り、ジャイアンツは昨年までバリー・ボンズというスーパーヒーローがいた。シーズン73本塁打、ハンク・アーロンの持つ通算755本塁打の記録を抜くなど、大リーグの看板だった。ところが“薬物使用疑惑”で裁判沙汰に。ジャイアンツは「選手契約はしない」と明言したのはいいが、客を呼べる人間がいなくなってしまった。
「今シーズンはフランチャイズ移転50年でなんとかいけるが、来シーズンは目玉になる選手がいない。そこで868本塁打の世界記録保持者の王さんに目をつけたといわれています」(大リーグ通)
米在住の日本人ジャーナリストによると「一昨年のワールドベースボールクラシック(WBC)で優勝した日本チームの王監督は、大物大リーガーがみんな敬意を表してあいさつに来た。それを見た日本選手たちはびっくりしていました。あのイチローも目を丸くしていましたからね。そのシーンをジャイアンツの幹部も見ていたといいます。その印象が強かったのでしょう」
このオフ、日本のテレビ局の企画でロッテのバレンタイン監督と日本ハムから大リーグのカンザスシティー・ロイヤルズの監督に出世したヒルマンが対談。その中でバレンタインが「もっともいい監督がいる。それは王さん」と発言し、それが大リーグ関係者に瞬く間に広がった。
このことも大リーグから「日本でも優勝している王は監督としても超一流」と評価されたらしい。「王が来ればボンズも大きなことが言えなくなる。そういう意味でもジャイアンツは王監督実現に頑張るのではないか」といわれている。
気になる年俸は「白紙の小切手でしょう」(大リーグ通)とか。王は既に「今季限りでソフトバンク監督を退く」意味のことを発言している。しかし、本人は「野球が好きだ。体力に自信があればまだまだ続けたい」と親しい関係者に話している。
今後、王さんが海外に目を向けても少しも不思議ではない。