来年2月18日、阪神タイガースは北海道日本ハムファイターズとの練習試合を行う。キャンプ中旬から「練習試合」と称して対外試合を組み入れるケースが増えてきた。一軍当落のボーダーライン上にいる選手はここでアピールしなければ、オープン戦で使ってもらえない。若手選手にとっては大事な時期となるが、日本ハム側のスケジュールにピンときた阪神関係者は少なくなかった。
「日ハムは2月上旬、米アリゾナで一軍キャンプを行います。帰国して間もない時期なので、清宮がスタメンで出てくる可能性が高いんです」(在阪記者)
練習試合の情報に在阪テレビ各局はこの練習試合の“完全中継”も検討し始めたという。清宮は一軍キャンプに帯同させる予定(12月末時点)。アメリカに連れて行くことで、日本のマスコミを遠ざけることもでき、また、栗山英樹監督(56)も将来のスター候補を手元に置くことで、その力量をしっかり把握することもできるからだ。
「金本(知憲=49)監督が清宮と接触してくるかもしれません。清宮は阪神ファンでしたし、少年野球時代は金本監督に憧れて左バッターに転向したほど。阪神も清宮のドラフト入札に参加しており、好意的に見ています」(前出・同)
異例の練習試合中継で、阪神投手陣は清宮の引き立て役になる危険性も出てきた。清宮が一軍に残れるかどうかの判断基準は、一線級投手のスピードに対応できるかどうか。それに対し、阪神投手のほとんどが“技巧派”だ。関西地区で活躍するプロ野球解説者によれば、チームでいちばん速い直球を投げるのは藤浪晋太郎(23)で、その次はメッセンジャー(36)だという。救援のドリスも速いほうだが、この時期に外国人投手を実戦で投げさせるとは思えない。そう考えると、藤浪が投げないとなれば、「清宮にプロの怖さを教えてやる」とはいかないだろう。
「2年目の才木浩人、あと、新人の馬場皐輔も速いとは聞いていますが…」(プロ野球解説者)
しかも、金本監督には練習試合やオープン戦でテストしておきたい課題もあるという。機動力だ。関係者によれば、金本監督は新外国人選手のウィリン・ロザリオ(28)の盗塁数に理解を示していたそうだ。韓国・ハンファに2年間在籍していたのは既報通りだが、1年目の16年の盗塁数「1」に対し、17年は「10」を記録している。どちらかといえば巨漢選手だが、「走れと指示すればできるのではないか?」とも考えているそうだ。
「金本監督は就任直後から機動力を駆使した攻撃スタイルをイメージしています。何人かの選手にノーサインでも走らせる指示を出し、ふるいにかけるつもり」(前出・在阪記者)
足の速い選手は何人かいる。だが、盗塁は「速いから成功するとは限らない」もので、投手のクセを見抜くなど経験や情報がなければ成立しないという。やみくもに走らせれば、アウトカウントを増やすだけで、それこそ、清宮にナメられてしまう。
「新人の馬場をぶつけるのでは? ドラフト1位同士の対決となれば話題性もあるし、制球難から立ち直っていない藤浪が打たれるようなことになれば、本当に立ち直れなくなってしまう」(前出・同)
藤浪がプロのレベルをガツンと教えるシーンを、虎ファンは観たいと思っているはずだが…。来年2月は冬季五輪中継がメインとなる。こちらも興味深いが、2月半ばともなれば、野球ファンは実戦中継が観たいと思うはず。ここで良いところを見せなければ、金本阪神は「やっぱり今年もダメか!?」と見放されてしまうだろう。