5月27日のソフトバンク戦(ヤフードーム)で、立浪和義(中日)の2480本を抜いて、通算安打数(現在2483本)が歴代7位となった金本。これで、同5位タイで並ぶ衣笠祥雄(広島)、福本豊(阪急)の2543本も射程圏に入った。通算出場試合数は2499となり、早ければ今日にも節目の2500試合出場を達成する。
記録更新は安打数だけではない。通算本塁打は471本で現在、歴代11位だが、同10位の田淵幸一(西武)の474本まで、あと3本でベスト10入りは目の前。通算打点は1498で歴代9位だが、同8位の大杉勝男(ヤクルト)=1507、同7位の長嶋茂雄(巨人)=1522を超えるべく、虎視たんたんと狙っているところ。
右肩の故障と年齢的な衰えから、昨季は連続試合出場記録も途絶え、122試合、打率.218、12本塁打、31打点と、広島時代の95年にレギュラーとなって以降、最低のシーズンに終わった。年俸も2億2000万円プラス出来高(推定)となり、全盛期の09年に5億5000万円だった年俸は半分以下に下がった。それでも、現役を続行する金本。
右肩の状態も良くなり、本人もヤル気満々だった今季であるが、ここまで47試合に出場し、打率.257、1本塁打、7打点と寂しい限り。得点圏打率は.241と通算打率以下で、チャンスでの弱さも露呈。打点7はセ・リーグの規定打席到達者29人の中で、ワースト3位タイで、主軸を打っていながら、いかにチームに貢献していないかの証明だ。5月30、31日のロッテ戦(甲子園球場)では不振の新井貴浩内野手の穴を埋めるべく、4番に入ったが、2試合で7打数1安打0打点の成績で、重責を果たせなかった。
和田監督は金本のコンディションを考慮し、スタメンからはずことも少なくなく、スタメン出場させても、早々に代走、守備固めを送ることも多くなった。
並みの選手なら、ベンチに置いておきたい成績だが、これまでの実績や年俸を考えると、安易にベンチウォーマーにもできないのが、和田監督の悩みの種。年俸2億円超の大選手を代打要員に、というわけにもいかない。スタメンに出しても、「どこで交代させるか」と気を遣わなければならず、その“取扱い”には気苦労も多い。
いっそ、引退してもらった方が、若手外野手を育てることもでき、金本への気配りもしなくてすむ。しかし、本人にはそんな気配などみじんもない。今後も和田監督は、金本の起用法で頭を悩ませることになりそうだ。
(落合一郎)