「シーズン中も意識していたといえば、意識していました。“未遂”に終わった宣戦布告もありましたし」(関係者)
未遂に終わった宣戦布告とは、ドラフト1位選手の最終選択だった。最終的には『ポスト金本』として伊藤隼太外野手(22=慶応大)に決めたが、沢田正二・球団本部長など一部の幹部が菅野智之(22=東海大)を推していた。日本ハムが入団交渉に失敗したように、菅野と巨人・原辰徳監督の関係が想像以上に固かったが、それは沢田本部長も分かっていた。しかし、
「藤川(球児)の後継者になりうる逸材として、沢田本部長たちは菅野クンの指名にこだわりました。同時に、『巨人に一本釣りさせたくない』との思いも強かったようです」(前出・同)
それだけではない。すでに関西系メディアでも報じられているが、阪神の2012年のドラフト1位の最有力候補は、東浜巨(21=亜大)だという。
08年センバツ大会で沖縄尚学を優勝に導いた頭脳派右腕であり、“赤マル・チェック”で追跡調査していくとの意気込みが語られていた。しかし、他球団スカウトによれば、「東浜クンと巨人も相思相愛」とのこと。つまり、赤マル・チェック発言は、メディアを使った巨人への宣戦布告だったのだ。
「菅野クンがドラフト浪人することになり、巨人は当然、彼を1位指名しなければなりません。巨人は2011年・1位は菅野、2012年・1位は東浜という青写真を描いていました。東浜クンに対する他球団の出方は分かりませんが」(前出・他球団スカウト)
1位で東浜を入札できないのなら、彼を強奪する意気込みがある−−。早々と、1位候補をマスコミに漏らした意図は他球団も分かっている。長野久義、沢村拓一、菅野…。その年のドラフトの主役を“プロテクト”してきた巨人のやり方に対し、阪神に追随する球団も現れるかもしれない。
「阪神が今オフのFA市場に参入しなかったのは、和田監督の意向によるものです。近年、オフの大型補強で選手のモチベーションが落ちていたのも事実ですし、現有戦力で戦う姿勢を示すことで、選手のやる気を高めたかったんでしょう」(前出・関係者)
昨季、阪神は交流戦で杉内と2度対戦し、「17イニング無得点」。その杉内を攻略したとき、和田阪神は上昇機運を掴み、士気が高まるのは必至だ。『打倒巨人』−−。これは阪神ファンがもっとも望む姿勢ではないだろうか。