その能見の今季の推定年俸は、5000万円。12球団で1億円の大台に届いていないエースは能見だけである。
プロ7年目。今季挙げた12勝を加えても、通算勝利数は「43」。昨年、右足楔状骨の剥離骨折で約4カ月間も戦線を離脱した。だが、12試合登板で8勝0敗。終盤戦、能見が帰って来なければクライマックスシリーズ進出も危うかったはずだ。能見の活躍を阪神球団がどう評価するか−−。他ナインも注目したが、「4カ月間の戦線離脱」を『公傷』とは認めず、現状維持の5000万円となった。
ローテーション投手として、3年を務め上げた。『実績』も備わり、目立った減俸材料もないため、他11球団のエース同様、“億単位”の年俸が提示されるものと思われる。
「今季の阪神は何かと“物入り”です。FA権を取得した新井、鳥谷、藤川に加え、外国人選手も慰留させなければなりません。能見本人が考えている年俸額には届かないのではないか?」
大阪圏で活動しているプロ野球解説者はそう危惧していた。
一般論として、契約更改はその交渉のテーブルで初めて提示金額を知るのではなく、シーズン中盤以降、フロント担当者と選手がすり合わせをする。球団側は大まかな評価を、選手側も希望金額や自分なりの意見等を伝える。提示金額と選手側の希望金額に開きがありすぎた場合、時間が足らなくなり、年内に合意できなくなってしまうからだ。
能見は一部関西系メディアで「去年(の交渉で)話し合ったことはしっかり覚えています」「僕自身、まだまだ(成績が)伸びると思う」と話していた。交渉前にこういうコメントが報じられたということは、シーズン中の事前交渉で「相当な開き」があったのではないだろうか。
「球団の提示予定額は1億円に到達していません」(関係者談)
終盤戦の10月にも、『月間MVP』を獲得−−。能見を強気にさせる材料はいくらでもある。交渉は揉める…。年越し交渉はもちろん、歩み寄りが見られなければ、能見はキャンプを自費参加することになるかもしれない。(スポーツライター・飯山満)