「同じく、今季に国内FA権を取得した藤川(球児=31)についても、楽観視できません。藤川はメジャー挑戦を視野に入れており、ポスティングをお願いしていますが、球団は認めない方向で残留交渉を進めています。来季終了まで我慢すれば海外FA権も取得できるんですが、『1年でも早く』というのが藤川の希望。阪神は2年以上の複数年契約で残留契約を交わしたいと…」(球界関係者)
球団が新井に提示した残留条件は『2年5億円』だったという。07年オフ、「年俸2億円プラス出来高5000万円×4年」で阪神入りしたが、実質、2億5000万円をもらっていたのだろうか。関西系メディアによれば、「現状維持と変わらない。自分は本当に評価されているのだろうか」と新井は不安に感じ、結論を保留した。
前出の関係者は「球団の残ってほしいという思いは本当」と前置きしたうえで、こう続ける。
「阪神フロントはFA取得と同時に、シーズン中であるにも関わらず、『残ってほしい』と訴えました。その誠意と新井たちにも伝わっています。誠意の言葉を具現するのが年俸だとしたら、現状維持の金額には落胆させられます。このあと、新井が残留したら『カネ目当て』と思われます。出たら出たで、また『カネ目当て』だと思われてしまうし…。最初から『年俸はこれだけしか出せないが』と、ハッキリ伝え、そのうえで戦力としての評価している旨を訴えれば良かったんです」(同)
ここ数年、阪神はフロントと現場がかみ合わないことも多い。今岡、藤本は追い出されるようにしてタテジマを脱ぎ、赤星は“強行に引退”。矢野はチームが優勝を争っていたため、引退セレモニーの機会を奪われた。今季、戦力外を通告された下柳にしても、二軍戦がラスト登板となった。12球団トップとなったチーム総年俸を削減したいとする経営方針も分かるが、これでは「チーム功労者のプライドを軽視している」と思われても仕方ないだろう。
「その一方で、大型補強を繰り返してきました。城島の年俸が4億円、小林宏が1億7000万円。生え抜きに冷たいと思われても仕方ない」(同)
近年、阪神の契約更改が長引いているのも無関係ではないだろう。
和田新監督の言葉が報じられた以上、仮に新井が退団を選択した場合、虎ファンは「裏切り者!」と怒るのは必至。新監督の熱いメッセージは新井に追い打ちをかけるものと化してしまったのだ。
ライバル球団の職員がこう言う。
「鳥谷は03年ドラフトの自由枠で阪神入りした選手です。いわば、逆指名ですよね? その鳥谷に対し、各球団が調査していたのはFA獲得の可能性があると踏んだからです」
国内FA権を取得した新井、鳥谷にとって、残留、移籍のどちらを選択したとしても、割り切れない気持ちを抱えることになりそうだ。(年俸は全て推定)