「サバ缶は、老化防止や美容、ダイエットにも効果があるということで、ここ数年、ブームが続いているんです。大手缶詰メーカーは、すでに1年間のサバ缶の予定生産量を売り切って、追加生産で対応している状況です」(流通業界紙記者)
ブームのキッカケは、テレビ朝日系の健康バラエティー番組だったという。
「サバ缶に含まれる脂肪酸・DHAやEPAは以前から健康にいいと言われてきましたが、この番組では美容・ダイエット効果もあると紹介。女性を中心に飛ぶように売れて、スーパーでも品薄が続いていました。そこに、血管の老化を防ぐレシピも同局の番組で紹介され、女性だけでなく、健康志向が強い高齢者からの需要が急増。生産量は'16年に、売上高も'17年に王者のツナ缶を抜いてトップに躍り出たんです」(同)
公益社団法人『日本缶詰びん詰レトルト食品協会』によると、'17年の水産缶詰の生産量はサバ缶が40%でツナ缶が34%、3位はサンマ缶の10%だったというが、ここにきて4位のイワシ缶(5%)が猛烈な追い上げを見せているという。
「水産大手は、サバ缶ブームと海外への輸出増加でサバが不足気味になったため、イワシの加工にも力を入れ、女性ウケしそうなサラダやパスタに合わせやすい商品を開発。それがバカ売れしています」(協会関係者)
もともとイワシはサバと同じ青魚で、DHAとEPAも多く含んでいる。
「イワシ缶は、商品によってはサバ缶より栄養素が多い場合がある。水産大手は、買い付ける原材料費が上がっているため、9月からサバ缶を約10%値上げしましたからね。より安価なイワシ缶が、サバ缶を抜くのは時間の問題ですよ」(同)
女性や高齢者に買い占められ、酒飲みオヤジの定番ツマミが入手困難になるのだけは、ご勘弁願いたいものだが、「カープ女子」とか「スー女」(相撲)とか「山ガール」が世間の認知を受けているように「サバ女子」「イワシ女子」も流行りの言葉になるかもしれない。