同試合で最高の盛り上がりを見せたのは、8回表。先頭打者が四球を選ぶと、続く源田壮亮が右翼へ二塁打を放ち、無死二、三塁。その後、一死満塁となったが、4番・マキノンは遊ゴロ…。併殺打となり、反撃の芽は完全にしぼんでしまった。
これに対し、巨人の4番・岡本和真は3打数1安打、打点1、四球1。先制点は4番のひと振りから生まれている。
「マキノンを4番に置いているわけですから、そこは信頼して送り出していますし。その結果1本が出ればいいのでしょうが、そんなには甘くないと思います」
試合後の松井稼頭央監督のコメントだ。
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やはり、“例の事件”が影響している。
松井監督はマキノンのすぐ後ろに、今季初の5番となる平沼翔太を昇格させたが、こちらも4打数ノーヒット。「一発が出ていれば逆転」という8回表でも、「巨人のブルペンは誰も準備していなかった」(スポーツ紙記者)
なんて情報も聞かれたくらいだ。
「緊急補強? トレードの可能性はゼロではありませんが、外国人選手を連れて来ることは考えにくい。西武も台所事情が厳しいと聞いていますので」(球界関係者)
侍ジャパンにも選ばれた山川穂高の離脱は痛い。
目下、その名前を出すことはNGといった重苦しい空気が取材エリアにも漂っていたが、調べてみたら、西武の完封負けはこれで今季9度目。パ・リーグ順位表でも楽天と入れ替わって、最下位となってしまった。
松井監督は打線低迷の原因を「繋がりの無さ」と分析し、「みんな何とか後ろに繋いでいくということを含め、また明日からやっていく」と言ったが、「初めて対戦する投手だからこそ、もっと積極的に行って」ともこぼしていた。
「右脇腹痛で二軍調整中のベテラン・中村剛也の状態を聞くと、『無理をさせない』という言い方です。10日の二軍戦には出場していたので試合ができない状況ではないと思います」(前出・同)
何が言いたいかというと、こちらは一軍レベルまで調子が上がっていないわけだ。つまり、現有戦力で立て直す以外に選択肢はないのだ。
話は山川が強制性交容疑で書類送検された5月23日のことだ。球団、松井監督はコメントを出したが、渡辺久信GMは終始無言を貫いた。この様子から、取材陣は「たとえ示談が成立しても、今季中の山川の復帰はない」と察したが、戦力ダウンのしわ寄せは新任指揮官の松井監督に行ってしまった。
「事件」は残された選手にも暗い影を落とすということか…。
「トレードを成立させ、チームの流れを変えないとダメ」(前出・同)
単独最下位は21年10月以来だ。まだシーズンは長いが、原巨人に完全にナメられていた。救世主は現れるのか? (スポーツライター・飯山満)