今回の動画で掛布氏は現役時代(1974-1988)に体感した阪神本拠地・甲子園球場の声援のすごさや、現役中のある試合でスタンドから角材を投げ込まれたエピソードなどを話した。その中で、佐藤の不振は甲子園の雰囲気も一因だと指摘した。
佐藤はプロ入りした2021年から2年連続で20本塁打をクリアしている左の強打者。ただ、今季は11日・日本ハム戦前時点で「57試合・.222・8本・34打点」と打撃不振が続いており、迎えた試合ではスタメンはおろか途中起用もされず今季初の欠場となった。
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今季の球界は新型コロナの影響で禁止が続いていた声出し応援が4年ぶりに解禁されているが、新聞の仕事で甲子園開幕戦(4月7日・ヤクルト戦)を取材したという掛布氏は「甲子園は甲子園だったね。あの声」とコロナ禍以前と変わらない雰囲気を感じたとのこと。
その上で、「そういう環境の中で佐藤は初めて野球をやるわけよ。それもちょっとね、佐藤の野球のリズムを…あの背中に感じる甲子園の声援って、甲子園が揺れるような感じがあるんだよね」と、大声援で生じる緊張感や重圧などがプレーに影響しているのではと推測した。
また、掛布氏は「選手が考えなきゃいけないのは囲み取材があること。今まで囲み取材はないわけだよ。佐藤が打てなくても、何人かの人に囲まれてコメントしなきゃいけないわけ」と、今季から囲み取材が解禁されたメディア対応が重荷になる可能性も指摘。同氏によると阪神球団関係者もこの点を懸念し、佐藤には「これからは打っても打てなくても囲まれることはあるよ。それは覚悟しておけよ」と忠告しているという。
「佐藤にとって新しく、プロ野球選手になって3年目で初めて阪神タイガースを見たと思うんだよ」と、佐藤はコロナ禍以前の阪神、甲子園を取り巻く雰囲気を今初めて感じているのではいう掛布氏。「マスコミ・ファンのすごさ、これは怖さとも言うんだけど、そういうものを佐藤は初めて経験する1年なのでそのあたり、(そうは)思いたくはないんだけども、ちょっと野球のリズムを崩してしまってる部分はあるのかな」と心配を口にした。
掛布氏の発言を受け、ネット上には「確かにファンやマスコミの圧に面食らってるのはあるかも」、「結果出せてない分ヤジとか追及とか凄いだろうしな」、「本人も前にヤジ聞こえてきてムカつくみたいなこと言ってたしな」といった同調の声が上がった。
佐藤は今季1月15日放送の『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)に登場した際、甲子園のスタンドから飛んでくるヤジにいらついているという旨を明かしている。球界では昨季までは声出し応援は禁止だったが、佐藤によると「俺の方が打てるぞー!」などとヤジを飛ばしてくるファンは一部いたといい、その度に「もうバット渡すから行ってくれよ」と内心いら立ちを感じているという。
阪神が11日終了時点でセ・リーグ首位(36勝20敗2分)に立つ中、安定感を欠く打撃が続いている佐藤。チームが好調なうちに復調のきっかけをつかむことができるだろうか。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
掛布雅之氏の公式YouTubeチャンネルより
https://www.youtube.com/@kakefumasayuki