「状態悪いからやん。連戦は関係ないやん」
佐藤をスタメンから外した理由を問われ、岡田彰布監督は、9連戦の疲労ではなく、「不振」だと言った。
6月の試合を見る限りだが、佐藤は36打数4安打。シーズントータルでの打率は2割2分2厘、得点圏打率はそれよりも低い2割1分2厘である。
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岡田監督の「状態が悪い」発言は図星だったが、チーム関係者がこう言う。
「試合前のミーティングで、岡田監督がいつもよりも長めに話をしています。再三再四、口にしていたのは『疲労』、『連戦でみんな疲れていると思うけど…』と選手たちにねぎらいの言葉を掛けていました」
佐藤の不振も「疲労」とは無関係ではなさそうだ。
コーチ経験のあるプロ野球解説者がその佐藤をこう評していた。
「好不調の波が激しい。7日の楽天戦では田中将大から2本の三塁打を放ったと思えば、翌8日はノーヒット。試合に出て、打席に立たせてみないと、好調なのか不振なのか分からないので、岡田監督からすれば起用しづらい選手なのかもしれません。佐藤の場合、『疲労感』が注意力をなくし…」
10日の同カードだった。8回裏の守備で佐藤は三塁線を破られ、二塁打を許している。佐藤は「ファールではないか?」と三塁塁審にアピールしていたが、
「長打を警戒し、三塁手はライン際に守備位置を変えていなければならない場面。ファールか否かの前に、基本動作を忘れていた凡ミス」(前出・同)
と、厳しい意見も聞かれた。
1対0で逃げ切った11日の試合だが、その1点は佐藤の代役で「スタメン三塁」で出場した渡邉諒のバットから生まれたもの。佐藤にはリフレッシュ休暇を与えた方が良さそうだが、そうも行かないようだ。
セ・リーグの打点ランキングを見てみると、佐藤は「34打点」で5位タイ。この数値はヤクルト・村上宗隆と同じで、4位は35打点の巨人・岡本和真。ライバル球団の主軸クラスの打点を稼いでいる。得点圏打率は2割1分2厘だから、「自身の長打で得点を稼いでいる」とも解釈できるが、佐藤には「試合の流れを変える力」があるわけだ。
岡田監督が厳しいことを言いながらも佐藤を使い続ける理由はこの辺にあるのだろう。
「11日、佐藤は出番ナシでした」(スポーツ紙記者)
取材エリアから阪神ベンチを見ていたが、同日の佐藤はベンチ前方に座っていた。帽子はかぶっていたというよりも、頭に乗せていた感じだった。「出番ナシ」は試合前に通告されていたのかもしれない。疲労による注意力の散漫、集中力の欠如は出番ナシでも窺えた。
交流戦突入後、トラの勢いが止まった。再浮上するのは、佐藤の疲労感が完全に抜けた時ではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)