これは1997年12月26日、NHK福岡で放送されていたお昼のローカル番組にレギュラー出演していたとある女性キャスターが、番組ラストに不用意な発言を行い、急遽年内を以って番組を卒業してしまった事件である。
この番組では、番組の最後に女性キャスターから「お別れの挨拶」を行い、番組を締めていた。普段は何気ない一言で終わっていた挨拶だったが、この日は年内最後の放送という事もあり、気合が入っていたのか、「今年一年、番組をご覧いただきありがとうございました」という挨拶の後、「ご覧頂きました皆さまの幸せと、見ていただけなかった皆さまの不幸をお祈りして、この辺で失礼いたします」と頭を下げたのだ。
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「見ていただけなかった皆さまの不幸をお祈り」という文句は、お笑い演芸や結婚式の挨拶などで使われる、古典ギャグ、常套句みたいなものだが、高齢者も見ているNHKのお昼の番組で「不幸をお祈りします」は、やはりブラックジョークが過ぎたようで、NHK福岡放送局にはクレームの電話が十数件鳴り、同日夜の別のニュース番組で「不適切な発言があった」とアナウンサーが謝罪する事になった。
「お別れの挨拶」は普段、この女性キャスターとディレクターが打ち合わせを行い、話す内容を決めていたが、この日の挨拶は年内最後という事もありキャスターの「アドリブ」で喋ってしまったという。結果、このキャスターは責任を取って年内で番組を降板。なんとも後味の悪い新年放送となったという。
本件はNHKの厳粛な放送理念と、言葉の大切さを学べるハプニングとして一部でよく知られた事件であるという。