報道機関であるテレビ局にとって、事件や事故を伝えるのは立派な使命だが、その一方で「あまりにタイミングが悪すぎ」という理由で、視聴者から大ひんしゅくを買う事もある。
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2010年のNHK大河ドラマ『龍馬伝』。福山雅治が幕末の志士・坂本龍馬を演じた作品で、全話平均聴率は18.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と例年の大河ドラマよりやや苦戦したが、生前の龍馬と交流のあった岩崎弥太郎の回想シーンから始まるドラマはコアな歴史ファン達を魅了した。
龍馬伝、クライマックス最大の見せ場と言えば、やはり今現在でも犯人がわからないとされる「龍馬暗殺」のシーンであろう。11月28日 に放送された最終回「龍の魂」は史実通り、龍馬と中岡慎太郎の暗殺シーンが描かれ、クライマックスには刀を持った刺客達が竜馬と中岡を襲ったのだが、ここで「珍事件」が発生した。
なんと、この日に行われていた某県知事選挙の「当確確実」のテロップが流れてしまったのだ。テロップは計26秒流れ、刺客の来襲に「ほたえな!(静かにしろ!)」と叫ぶ龍馬の顔、刀で斬られた苦しむ龍馬の表情など、大事なシーンが全て「当選確実」のテロップで隠れてしまったのだ。
当然、1年に渡りドラマを見続けていた視聴者はカンカンに怒り、NHKに抗議が殺到。当選した県知事の事務所にも抗議電話が鳴ったという。
これには、主演の福山雅治(『龍馬伝』のスタッフと一緒に最終回を見ていた)もラジオで「内情はわかりませんが、『まつりごと(政治)』の象徴である選挙関連のテロップが出たのは仕方ない事だね」と龍馬の気持ちを汲んでコメントしたほか、福山の所属事務所のアミューズは「何もあのタイミングでなくても良かったのでは…と思います」と取材に答えた。
なお、テロップで台無しにされた『龍馬伝』最終回は後日、再放送が行われたという。