『ザ・ベストテン』と『ザ・トップテン』の大きな違いは「観客の公開の有無」であった。『ザ・ベストテン』は生オーケストラを呼び、コンサート会場に負けない高いクオリティの番組をめざした一方、『ザ・トップテン』は毎回観覧者を特設会場(渋谷公会堂が多かった)に集め、現場の熱気をそのままに伝えるライブ感が売りであった。
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だが、熱狂的なファンを観客席に座らせた事で、予想のつかない様々なハプニングが発生したのも事実だ。特に有名なのは、中森明菜に関するハプニングであろう。
1980年代前半の中森は松田聖子と二強を争うトップアイドルであり、『ザ・トップテン』には毎週とまでは行かないまでも、かなりの頻度で出演していた。1984年10月22日の放送にて、中森はヒット曲「十戒」を歌った。すると、会場にいた一部の観客から明菜に対し「帰れ」コールが突然起こったのだ。これは当時、中森が「近藤真彦と交際している」という噂が立ち始めた頃であり(後に交際&同棲が発覚)、近藤のファンと思われる女性客から「帰れ!」というコールが中森に浴びせられたのだ。「帰れコール」はテレビからもハッキリ聞こえており物議を醸した。
また、これは『ザ・トップテン』のリニューアル番組『歌のトップテン』(1986~1990)での出来事であるが、1988年3月28日に中森が「AL-MAUJ」を歌っている最中、突然若い男性が中森の目の前に現れ、手に持っていたノートを投げつけるという事件があった。男はすぐに警備員に取り押さえられ、中森に怪我は無かったが、事態を重く見た番組関係者はこの事件を機に、『トップテンシリーズ』の醍醐味だった観覧者募集をやめることになり、次第に番組の役割も終える事になった。