昨年7月に起こった安倍晋三元首相の銃撃死事件の模倣犯と見る声も多い。今回のケースは幸いにして岸田氏に被害はなかった。
これまでも日本の首相はさまざまな場で襲撃を受けてきた。岸田氏同様に本人が無傷となった例もある。
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1978年12月には大平正芳首相(肩書は当時・以下同)が、首相官邸前で、車に乗り込もうとしたところを、登山ナイフを持った男からの襲撃を受けている。犯人の男は寸前に取り押さえられたため、大平氏に被害はなかった。犯人は襲撃前には記者を装って首相官邸に侵入し、十数時間にわたって滞在し、襲撃の機会を窺っていたと言われている。自民党への改善要求を求める檄文も持参していた。
1994年5月には退任したばかりの細川護煕前首相が、新宿のホテルで日本新党のパーティーに出席し、会場から出たところホテルのロビー内で発砲を受ける。犯人として取り押さえられたのは右翼団体に所属する男で、細川氏の戦争責任発言や経済政策に腹が立ったと言われている。
犯人の男は銃弾を天井に1発発射したところを警護員に取り押さえられた。明確に命を狙うというよりは威嚇の意味もあったのかもしれないが、細川氏の背後10メートルまで近づいていた。
いずれのケースも犯人は、要人に手の届く距離にいた。
大平氏のケースは、首相官邸の警備の甘さが指摘されるだろうが、細川氏のケースは多くの人間が出入りする政治パーティーの場であっただけに、事件を完全に防ぎ切れたかは難しいと言わざるを得ない。要人警護の難しさを感じさせるケースと言えるだろう。