坂本は開幕戦・中日戦に「3番・遊撃」で先発したが、「4打数無安打・1三振」と快音は聞かれず。また、同戦から4月4日・DeNA戦にかけ15打数連続無安打と一向に調子は上がらず、5日・DeNA戦ではとうとう今季初のスタメン落ち。翌6日の同カードで先発復帰するも「3打数無安打」と沈黙している。
開幕に先立ち行われたオープン戦でも「.111・0本・2打点」とサッパリだった。昨季まで「.291・266本・944打点」といった通算成績を残している主軸の現状を受け、何が低迷の原因なのかを推測しているファンも少なくない状況だ。
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「坂本は2019年に『.319・40本・94打点』と本塁打・打点でキャリアハイを記録しましたが、翌年以降は新型コロナ感染(2020)、右手親指骨折(2021)、左内腹斜筋筋損傷(2022)、右膝内側側副靱帯(2022)、腰痛(2022)と離脱が頻発。この間は出場試合数、打撃成績も減少傾向となっていますが、加齢も相まってコンディション面が衰えていることが不振の原因となっている可能性はあるのでは」(野球ライター)
2019年を境に故障頻発、成績も落ち込んでいる点は野球解説者・江川卓氏(元巨人)も指摘している。同氏は2023年4月3日に自身の公式YouTubeチャンネルに投稿した動画の中で「(外角に)落ちてくるボールに対して下から打っていく、というのが成功して40本打ったわけですけど、ゆがみというのがこないのかなと疑問に思っていたんです」とコメント。2019年の坂本は元々得意だった内角打ちに加え、外角球も足を踏み込んで力強くはじき返す打撃が目立ったが、江川氏はこの打撃は体に大きな負担になるのではと以前から気になっていたという。
同氏はその上で「腰を悪くしたり、下半身がうまく使えなくなった状態で下からバットを出していくことに体の無理があるのかなというふうには感じてますね」、「今はスイングが鈍くなっているように見えるので、鈍くなって(いる状態で)外から、下から打つと相当遅くなるわけですよね」と、2019年当時の打撃を現在も続けようとしていることが不振の原因ではという見解を示している。
コンディションに加え打撃のアプローチにも問題があるとなると、坂本を一旦、二軍に落としじっくりと再調整させることが現実的な選択肢となり得る。ただ、チームを率いる原辰徳監督は球団OB・岡崎郁氏(元巨人)が今年2月7日にアップしたYouTube動画に登場した際、坂本と菅野智之については「彼らが主力、主軸ですから。その中心選手が力がないっていうのではチームとしては一番ダメ」、「昨年のような2人の成績では、とてもじゃないけど主軸、主力っていう(役割)、これは預けることはできない」と明言しているだけに、復調のための時間をわざわざ与えるかどうかは不透明といえる。
また、巨人は2022年ドラフト4位で獲得した遊撃手・門脇誠がOP戦で「.286・0本・3打点」と猛アピール。開幕後もプロ初出場となった4月5日・DeNA戦の第1打席でいきなり二塁打を放つなど活きの良さは健在で、このまま世代交代を推し進める方が理にかなっているともいえる。
一軍レギュラーに台頭した2008年から15年、キャリアの正念場を迎えている坂本。近年の球界では34歳という年齢は際立って高いわけではなく、他球団ではDeNA・宮崎敏郎、広島・秋山翔吾といった同学年選手が元気にプレーしているが、坂本がこのまま立場を失っていくのか、それとも復権なるのかは今後も要注目だ。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
江川卓氏の公式YouTubeチャンネルより
https://www.youtube.com/@egawasuguru
岡崎郁氏の公式YouTubeチャンネルより
https://www.youtube.com/@asuaka