坂本勇人選手が同5日のDeNA戦でスタメンを外された。「8番遊撃、門脇誠」がアナウンスされた時、レフト側のジャイアンツ応援団はさほどざわつかなかった。「チームの顔」である坂本のいない打線を淡々と受け止めたようだった。むしろ、キャンプ、オープン戦で猛アピールを続けてきた新人に期待しているような雰囲気だった。
セ・リーグの試合中継を担当することが多いプロ野球解説者がこう言う。
「前日(4日)の試合が布石になったと思います。坂本は『6番』で出場しましたが、その前を打つ中田翔が二度も申告敬遠されました。DeNAバッテリーはピンチで『坂本なら抑えられる』という選択をしたんです。坂本は敬遠された後、2打席とも凡打でした」
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ここまでの成績は、16打席でノーヒット。今季はまだ1本もヒットを打っていない。
「坂本をスタメンから外すとしたら、今日(5日)かなと思っていました。前打者が申告敬遠されたショックもあるので」(前出・同)
その日の坂本だが、ベンチ前列に座り、時折、手すりに乗り出して出場した後輩たちを応援していた。
しかし、上半身は黒のチームパーカーを着ていた。下半身はユニフォームで守備用のスパイクも履いていたが、上半身のパーカーの下はユニフォームを着ていなかったように見えた。ノーコメントで引き上げたため、確かめることはできなかったが、試合前に「完全休養」を伝えられていたのかもしれない。
「試合中盤もずっとベンチでした。代打などの準備はしていませんでした」(球界関係者)
「0対2」で試合を落した後、原辰徳監督は「坂本のスタメン落ち」について、「いろいろ。トータルで考えてということ」
と詳細を語らなかったが、「明日は?」の質問には「スタメンで行ってもらいます」と言い切った。
明日、4月6日のDeNA先発は左腕・東克樹投手だと発表されている。この復帰戦で結果を出せなければ、“正遊撃手の交代”の動きも加速していくだろう。
一方、スタメン出場のチャンスをもらった門脇だが、3打数1安打。第1打席でいきなり左翼線への二塁打を放っている。打撃面でも評価する声が多く聞かれたが、7回の第3打席でのことだ。
無死一、二塁で打席が回ってきた。「送りバント?」と思われたが、原監督の選択はヒッティング。「門脇は足が速いから、打ち損じてもダブルプレーは防げる」と判断したそうだが、結果はレフトフライ。原監督はベンチ前の手すりを叩いて悔しがっていた。
このシーンが意味シンだ。
原監督が怒ったのは二塁走者の大城卓三選手がタッチアップを怠ったからだと話していたが、こんな指摘も聞かれた。
「門脇は『2ボール』のカウントから打ちにいきました。2ストライクになるまで待って、相手投手の持ち玉を次の打者に見せないと…。若さ、経験値の少なさが出てしまいました。こっちを怒ったのでは?」(前出・プロ野球解説者)
昨シーズンのデータを見ると、坂本と東の対戦成績は10打数3安打。数字上では3割だが、“カモ”にしている印象はない。休養日明けの6日、坂本が結果を出さなければ、門脇の育成へ大きく舵を切るだろう。(スポーツライター・飯山満)