今回の動画で水上氏は日本ハム(2007-2009/二軍監督他)、ソフトバンク(2014-2018/一塁内野守備走塁コーチ他)で送った指導者生活の中で印象に残っている選手について話した。その中で名を挙げた中田について、プロ入り当初にファンサービスを巡って説教をしたことがあるという話を明かした。
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中田は大阪桐蔭高校時代に通算87本塁打をマークした実績を買われ、2007年ドラフトで4球団競合の末日本ハムに入団。翌2008年は春季キャンプを一軍で迎えるも、実戦で結果を残せず同年3月中旬に二軍降格となった。
具体的な時期は不明だが中田降格後のある日、二軍練習終了後に球場を出入りする選手たちの様子を見ていたという当時二軍監督の水上氏。すると、中田がサインを求めるファンたちを「ごめん、疲れてるから」といった雰囲気で遮りながら歩く様子が目に入ったため、すぐに球場内の監督室に呼びつけたという。
監督室にやってきた中田に、水上氏は「お前さ、今誰にもサインしないできたけどなんで?」と詰問。これに中田は「すみません、ちょっと疲れてたので…」と答えたというが、水上氏は「お前は疲れて帰ってきて、明日練習(でまた)ここにいるんだけど、あのファンの人さ、もし今日しか来れなかったらどうすんの? お前さ、そういうファンの人の気持ちって考えたことあるの?」とさらに問いただしたという。
その上で、水上氏は「俺たちプロでしょ? プロの選手ってファンの人たちに喜んでもらうような、そんなことをするのって普通の仕事なんじゃないの?」、「ちょっとお前おかしいぞ。そんなんだったらプロでやってく選手になれないわ」と、ファンに見てもらい、楽しんでもらうことが仕事であるプロ野球選手として、自覚が足りないと中田をしかったという。
この叱責に中田がどのような反応を示したのかは触れなかったが、「彼は次の日からずっと、何時までかかっても全員にサインして上がってくるようになった」という水上氏。「ちゃんと話したらすごく理解力があって素直な子だって感じた」と当時を振り返った。
水上氏の発言を受け、ネット上には「1年目の中田がそんな説教食らってたとは」、「鳴り物入りで入って来たから、その分天狗になってた節があったのかも」、「ファンのチケット代とか給料に反映されるプロになった感覚が薄かったんだろうな」、「中田がファンサービスに熱心なのはこの教えからなのか」といった驚きの声が寄せられた。
これまで日本ハム(2008-2021)、巨人(2021-)でプレーする中田は通算288本塁打の打棒はもちろん、今春キャンプでも即席で約40分間サイン会を開くなどファンサービスにも定評がある選手として知られている。18年前にあった水上氏の教えを中田は今もなお実践し続けているようだ。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
プロ野球OBクラブの公式YouTubeチャンネルより
https://www.youtube.com/@jp_baseball_legends