音楽家の坂本龍一さんの訃報が4月2日に所属事務所から伝えられた。坂本さんはがんの闘病を続けていたが、3月28日に亡くなった。71歳だった。
坂本さんは1月11日に亡くなった高橋幸宏さん、細野晴臣とともにYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)を結成していたことでも知られる。YMOの人気絶頂期だった1980年に、坂本さんの激怒する音声が『スネークマンショー』(TBSラジオほか)でオンエアされている。
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「スネークマンショー」は桑原茂一、小林克也、伊武雅刀によるコントユニット。音楽や効果音、シュールなセリフなどを組み合わせ、マニアックな人気を博した。YMOともコラボアルバム『増殖』を製作している。
そして、両者がコラボする形で、写真雑誌『写楽』(小学館)の創刊記念イベントを日本武道館で行うことに。だが、事前の細かい打ち合わせがなされず、イベントの進行はグダグダになってしまった。
当初はコントを行い、最後にサプライズ的にYMOのライブが行われる予定だった。しかし、観客のほとんどはYMOの音楽が目当てだったため、「演奏をやれ」と野次が飛び交う。これに坂本さんが「うるせーぞ、この野郎!」などと激怒した。さらに高橋さんが「黙って聴いてなさい、ちゃんとやるんだから」となだめる場面も含めて、ラジオではオンエアされた。
結局、このイベントの失敗の責任を取らされる形で、『スネークマンショー』は打ち切りに。番組側は皮肉として、最終回まで坂本さんの激怒音声を番組ジングルに使い続けた。
言葉だけを見るとハードだが、激怒時に坂本さんは女装姿でピアノを弾くキャラクターを演じていた。その後に音声が使われ続けたことも、半ば坂本さんも公認していたものだと言えるだろう。
この後の坂本さんは『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)のほか、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(同)ではアホアホマンの兄として出演するなど、バラエティ番組での活躍でも知られる。そうして見ると『スネークマンショー』でのハプニングは、いわば坂本さんのギャグやユーモアへの理解を表したものだと言えるかもしれない。