開幕第3戦(2日)の広島戦、8回裏に勝ち越しに成功すると、高津監督は最終回のマウンドに田口を送った。スコアは3対2、神宮球場のファンも前日の指揮官のコメントを知っていたのだろう。「ピッチャー、田口」がアナウンスされると、大きな拍手が沸き起こった。
「1日の試合は『1対0』の投手戦でした。9回を締めたのが田口で、高津監督は『守護神ということでいいのか?』の質問に、『それでいいと思います』と答えています」(スポーツ紙記者)
田口はクローザーに繋ぐ「8回」を託されるとの見方をされていた。
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昨シーズン38セーブを挙げるなど、チームに貢献したスコット・マクガフ投手が抜け、その後継者探しが「3連覇のカギ」とされてきた。
「石山泰稚投手、清水昇投手、新外国人のキオーニ・ケラ投手らもいましたが、高津監督が『ゲームセットの瞬間』までをイメージしやすかったのは田口でした」(球界関係者)
石山、清水たちには「強いストレート」があるが、田口には際立った武器がない。低めに変化球を集め、相手打者のタイミングを外し、打ち損じを誘っていくタイプだ。
「高津監督が重要視したのは、メンタルです。クローザーは1球のミスで敗戦投手になることもあります。高津監督は気持ちの切り替えが上手な投手が良いと思っていました」(前出・同)
今さらだが、指揮官は日米通算313セーブ、NPB歴代2位の286セーブをマークしたスター守護神だ。剛速球で相手打者をねじ伏せるのではなく、サイドスローから放たれるシンカーで“幻惑”させていた。
現役時代を知るプロ野球OBがこう続ける。
「救援に失敗したこともありましたよ。グラブハウスに戻ってもひと言も発することが出来ず、でも、帰るまでには気持ちを切り替えているんです。遠征続きで体調が優れない時も練習メニューを変えるなどして乗り切っていました」
その「鋼のメンタル力」がなければ、アメリカ、韓国、台湾、そして、国内独立リーグで投げ抜くことはできなかっただろう。
「田口はヤクルトに移籍して登板数が増えましたが、巨人時代と異なることも多く、苦労していました。チーム事情で先発からリリーフに配置換えになっても、適応しようと…」(前出・球界関係者)
今季からは投手陣のリーダーにも選ばれている。自身が投げ終えた後もベンチに残り、声を出し続けていた。そういった姿勢も評価されたのだろう。
「田口はタフ。3連投でもビクともしませんよ」(前出・スポーツ紙記者)
順調に行けば、今オフに国内フリーエージェント権を取得する。昨年の契約更改では1800万円増の8800万円(推定)でサインしているが、複数年ではなかった。2年連続での“守護神ロス”を防ぐためにも、球団は資金調達も進めておくべきだ。(スポーツライター・飯山満)