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日本は巨大地震後、スクラップ&ビルドで成長してきた

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2011年3月11日14時46分、東北地方に大震災が起こった。このときぼくは、東京の自宅で仕事をしていた。

ずいぶん大きく長い地震であったと記憶している。本棚からバタバタ本が落ちてきて、倒れそうな本棚を手で押さえていたら、キッチンの方からガッチャンガッチャンと、食器やらが棚から落ちる音がした。

ようやく地震がおさまると、部屋は惨憺たる状態になっていた。30分後にスーパーに行くと水やお茶、トイレットペーパーはすっかり売り切れていた。東京のテレビニュースでは、東北よりもお台場や千葉の火事を流していたように思う。

震災直後は、東京など被災地から遠い場所の人は、大きな地震が来た程度に思っていても、東北の被害については思いが至らなかったように思う。東北の被害のひどさを知るのは、地震発生後数時間たって、テレビなどの報道で知ってからだ。

東日本大震災は、地震と津波だけではなく原発事故という不幸が重なった地震でもあった。原発事故による直接被害や風評被害はいまだ続いている。

先日NHKスペシャルで、 南海トラフ巨大地震のドラマと「どう備えるか」という番組をやっていたが、なぜか静岡県になる浜岡原発や四国の伊方原発についての言及はなかった。もしかしたら原発推進の政府に忖度したのかもしれない。

しかしやがて間違いなく来る南海トラフ地震を考えると、原発のリスクを伝えないというのは、東日本大震災から何も学んでいないのに等しいのではないだろうか。

南海トラフ地震は関東から九州までの広い範囲に地震が襲うというもので、30年以内に70~80%の確率で起こると言われている。

そして東京、横浜、名古屋、大阪といった巨大都市が被害に遭い、死者は最悪32万人、主要都市に被害を受けるということは、日本経済も壊滅的打撃を受けるということであり、お金にして最悪1410兆円という気が遠くなるような被害が予想されているのだ。

こういうと、南海トラフ地震が起こったら日本は終わりだと思う人がいるかもしれない。

しかし日本は100年~150年に一度の割合で、南海トラフ地震を経験しているのだ。前回は1946年、終戦前と終戦後の2度にわたり南海トラフ地震が起こった。最悪の時期といってもいい。しかしその後、日本は復活した。

さらにその前の南海トラフ地震は江戸時代の幕末期、ペリーが来た頃に日本各地で巨大地震が連続で起こっている。この二つの南海トラフ地震のあと、日本が大きく変わっていったのはご存じの通り。

日本はスクラップ&ビルド(破壊と再生)で成長してきた。次もそうなると思いたい。

地震の予知はできない。いつだって不意打ちで襲ってくる。我々にできることは、怖いことから目をそむけるのではなく、東日本大震災から学び、できる備えをやることだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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