ベイスターズのキャプテン制度は経営権がTBSからDeNAに譲渡された2012年、初代監督・中畑清氏政権の際に発足。現在アメリカンフットボールで活躍している石川雄洋氏が初代としてチームを3年間まとめ、暗黒期からの脱却の足がかりを築いた。2015年からは同じ横浜高校出身のスラッガー・筒香嘉智が引き継ぎ、2016年にはチームを初のクライマックスシリーズに進出させ、2017年には日本シリーズまで導いてみせた。
その後、筒香は2020年にメジャー移籍。当時のアレックス・ラミレス監督が「素質がある」と見いだし、4番レフト・キャプテンの座を佐野に任せた。初年度は4位、2年目は最下位と結果が出ず「最下位のチームのキャプテンは悔しい」と昨年オフに素直な心境を吐露していた。
しかし2022年は「夏場に連勝することができて、ホームでも連勝し、そこで勢いに乗れたので、やっぱり勝つことが一番チームにとってまとまる要因のひとつなのかなと今シーズン感じることができた」と本人も振り返るように、リーグ2位まで躍進。「来シーズンも勝つことでチームがさらにまとまると思うので勝利にはこだわらないと、と強く感じました」と語る。
「クライマックスシリーズが終わってすぐ、監督が気を使ってくれて、キャプテンが重みになったり、苦しめたりしてないかと聞いてくれた」と、三浦大輔監督から心配されたことを明かしている。佐野は「それ以上にキャプテンとして優勝したい。監督がやらせてくれるなら僕はやりたいです」と即答。「監督も佐野がそう言ってくれるならお願いしたいと言ってくれたので、監督に恩返ししたいと思います」と来年もキャプテンを続けることが決定した経緯を明かした。
キャプテンとなってから3年間、打率は3割を割ることなくコンスタントに打ち続けた佐野。もう一度首位打者と日本一のチームのキャプテンに君臨することにターゲットを絞っていく。
取材・文・写真 / 萩原孝弘