2年連続で開幕投手を務めた今季は、先発ローテーションに定着した時期もあり、近年の低迷ぶりを払拭する兆しも見せていた。登板数は16試合10先発にとどまり、勝ち星もわずか3勝だったものの、夏場から終盤にかけては6試合でクオリティスタートを記録するなど、安定感のあるピッチングも披露している。
ここ数年、イップスなども囁かれ、毎年のようにトレード要員としても名前が挙がるなど、プロ入り当初の勢いを完全に失っていた藤浪。だが、ルーキー時より評価されてきたピッチングスキルを今も発揮できると信じるファンも少なくない。
同じく今オフで、メジャー挑戦の意思を表明している、ソフトバンクの千賀滉大、オリックスの吉田正尚、DeNAの山崎康晃らと比べると日本での実績の点では見劣りするものの、今季終盤のピッチングを見る限りでは海を渡る資格は十分にあるだろう。
また、すでに米国内からも熱視線を送られている。千賀とともに早くから藤浪の名前も現地メディアを賑わせており、先日発表となったFAランキングでは50位にランク。
さらに、移籍先候補など、いくつもの球団名も挙がっており、すでにロサンゼルス・ドジャースのスカウトが日本での藤浪のピッチングを視察に訪れたとも報じられた。また米メディアでは、ダルビッシュ有を始め、ロベルト・スアレスやニック・マルチネスなど日本球界経験者が在籍するサンディエゴ・パドレスや、今季、リーグ下位に低迷したオークランド・アスレチックスが獲得の意思を示したとも伝えられている。
特にアスレチックスは、先発要員としての起用の可能性も検討しているとの報道もあることからも、MLB関係者や現地での評価は決して低くはなさそうだ。
近年、大谷翔平の驚異的な活躍もあり、日本球界が注目を浴び、選手たちの評価がこれまで以上に高まっていることは明らかであり、藤浪獲得に多くのMLB球団が名乗りを挙げることへ期待も膨らむ。輝きを取り戻しつつある28歳が来季メジャーのマウンドに登り、今もなお眠らせているポテンシャルを存分に発揮する瞬間を楽しみに待ちたい。(佐藤文孝)