東京ヤクルト、オリックスが投入したピッチャーは計16人。日本シリーズ第2戦は、「史上2番目」に長い5時間03分の“持久戦”となった。延長12回引き分け、一進一退の攻防戦は時間も忘れさせてくれる大熱戦だった。
「ちょっと、オリックスに運がないというか、アンラッキーなシーンが続いています」
ネット裏のプロ野球解説者がそんな感想を述べていた。
>>広島・新井新監督、オリ水本ヘッドを引き抜くか 先月予告していた? 能見引退セレモニー中の発言が話題に<<
12回表、ヤクルト8番手・木澤尚文の投球がワイルドピッチとなり、二塁走者の佐野皓大が一気に本塁まで走り込んできた。勝ち越しのホームインと思われたが、ボールは一塁ベンチに入っており、「ボールデッド」で佐野は三塁に戻された。
気になるのは、初戦に先発したエース・山本由伸の“その後”だ。
「山本は本調子ではなかったと思います。5回途中、左脇腹の違和感で自ら降板しましたが、彼の性格を考えると、『ちょっとつった』なんてレベルではないのかも」(前出・同)
昨年のシリーズ第6戦、山本は自ら志願してマウンドに上がった。「負けたくない」の一心で、プロ最多の9回141球を投げ込んだ。そんな闘争心を持ったエースがベンチに“交代のシグナル”を出したのである。
「山本が重傷となれば、第6戦の先発投手がいなくなります」(在阪メディア)
その山本は第2戦の試合前、全体練習に参加している。軽めのランニングとストレッチ系のメニューをこなし、早々に引っ込んでしまったが、ケガの具合の関してはノーコメント。中嶋聡監督も「分かりません。(山本と)話もしていないから」と、返すだけだった。
山本は今シリーズ第6戦で「2度目の先発マウンドに臨む」と予想されていた。
「この先投げられないとなれば、あの話は現実になるのかな?」(前出・同)
あの話とは、まだ一軍登板のない“未来のエース候補”の大抜てき案だ。
10月8日、オリックスはクライマックスシリーズ・ファイナルステージに備え、紅白戦を実施した。
そこで先発したのが2020年のドラフト1位投手・山下舜平大で、T-岡田から空振り三振を奪うなど、主力バッター陣を苦しめていた。
「山下は腰痛で実戦から離れていました。実戦感覚を取り戻す大事な紅白戦で、一軍投手の出場機会を奪って、山下を投げさせたんです」(球界関係者)
この時点で、オリックス首脳陣は「分からないよ~」と、山下抜てきの質問を笑っていた。しかし、状況が変わってきた。
「初戦も三塁ベース際の際どい打球がフェアと判定され、先制点を許しました。シリーズの流れを変える一手を打たないと…」(前出・同)
“一軍未登板の若手”を日本シリーズで投げさせるのか? 中嶋監督の落ち着き払った様子がブキミだ。(スポーツライター・飯山満)