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『痛くない死に方』の高橋伴明監督のもとに実力派俳優が集結した。この日の舞台挨拶には、共演の筒井真理子、柄本明、高橋監督、脚本の梶原阿貴氏も出席。ホームレスに転落してしまう主人公・三知子を演じた板谷は、高橋監督作は『光の雨』(2001)以来の出演となる。板谷は「芝居を始めたばかりの頃にご一緒して、20何年間ずっと自分のどこかに伴明さんがいたので、今回一緒にやるぞと言ってくださったのが本当に嬉しかった。仕事を続けていたら、こんなに嬉しいことがあると20代の私に教えてあげたい」と喜んだ。
今作は、2020年に起きた実際の事件に着想を得ている。板谷演じる主人公の三知子について、高橋監督は「三知子の立場は誰もがなりうるし、実際に多くの女性が『私も同じだ』と声を挙げた。板谷さんにその代表になってもらいました」と起用の理由を語った。ホームレスになりやせ細っていく主人公に合わせて、板谷も減量に挑戦。ダイエット方法はシンプルに「食べませんでした」とのことで、「3キロ行くか行かないか」と成果を明かしていた。
高橋監督と「古い付き合い」という柄本は、スケジュールの合間を縫って撮影に参加。「監督の現場はとっても豊かなんです。余計なものがなくて、迷うことなく次のカットへ移り、大変に気持ち良くお仕事させていただきました」と高橋組の撮影を振り返った。
板谷によると、柄本と2人で歩くシーンで「スタンバイ中に柄本さんが『こういう何でもなく歩くシーンが一番難しいんだよな』とおっしゃっていて、ぞーっと鳥肌が立っちゃって。深すぎて涙が出そうになってしまったんですけど、私にとって宝物です」と明かせば、柄本が「良いことを言ったんですねえ」ととぼけて返す一幕も。高橋監督は「すごく良い歩きでした。僕の中で2人は高倉健と池部良なんです」と往年の名優になぞらえて称賛した。
(取材・文:石河コウヘイ)