昨年はルーキーとして開幕ローテーション入りを果たしながらも、4試合登板で4敗。即戦力を期待されたドラフト1位としては物足りない成績となり、8月には右肘にメスを入れるなど苦心のプロ生活を送ってしまった。
今シーズンは三浦大輔監督の「リリーフに適性がある」との見解もあり、ベイスターズの誇るブルペンの一角としての役割を得ると、開幕からフル回転。ここまで31試合に出場し、投球回は35イニング2/3と回またぎも辞さぬタフネスさでチームを支えている。
成績も3、4月は防御率7.56、5月も3.72とリリーフとしてはイマイチの数字となってしまったが、6月は2.92と持ち直しの兆しを見せ、7月は6試合登板で無失点と一気にブーストアップ。登板過多に陥っている勝ちパターンのエドウィン・エスコバー、伊勢大夢、平田真吾らの負担を減らす貴重な存在として、階段を上ってきている印象だ。
ピッチングスタイルも昨年のスターター時には最速151キロで投球の約半分を占めるストレートと、2割強のツーシーム、2種類のスライダーとカーブ、フォークと多彩なボールを操っていたが、今シーズンはリリーフ転向したこともあり、ストレートが約6割、フォークが2割と力で抑え込むスタイルを確立。生命線のストレートも最速156キロまでアップし、昨年右バッターに対しては被打率.393と苦手にしていたが、今シーズンは.221と改善させることにも成功し、安定感もグンと増してきた。
こどもの日にはプロ初勝利をマークし、同期の牧秀悟とともにお立ち台に登った際「寮の風呂で誓ったことが現実になった」と相好を崩した入江大生。実はまだ新人王の権利も有している剛球右腕は、モップアッパーからセットアッパー、その先のストッパーまで視界が広がりそうな気配まで漂ってきている。
写真・取材・文 / 萩原孝弘