前日まで「1勝2敗」の宇良はこの日、同じく「1勝2敗」の平幕・若元春と対戦。立ち合い低くぶつかり懐に潜り込もうとしたが、右のかち上げで応戦した若元春に逆に土俵際に追い込まれる。宇良はここから若元春の左腕をたぐりながら右方向に動くと、体勢が崩れた若元春をそのまま土俵下へ送り出した。
問題視されたのはこの直後に宇良が見せた態度。相撲では勝った力士がガッツポーズなど、喜びをあらわにするジェスチャーをとることは礼を欠く行為とされているが、宇良は土俵下に落下した若元春を見ながら両腕の肘を伸ばし上に大きく上げる、いわゆる“バンザイ”のようなポーズをとった。
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この宇良の態度を見て、ネット上には「こんなあからさまなバンザイはやったらダメだろ、宇良がそんな奴とは思わなかった」、「相手を見ながらやったのも感じ悪い、挑発行為と捉えられても文句言えんぞ」、「それだけ手応えのある相撲だったのかもしれんが、だからといって派手なポーズが許されるわけじゃない」といった苦言が多数寄せられた。
その一方で、「挑発したわけじゃなくて、単に驚いて手を上げたのでは?」、「若元春は転がりながら派手に落ちてたから、びっくりして両手が動いた可能性の方が高いと思うけどなあ」、「なんか挑発とか煽ってるとか言われてるけど、宇良の性格上その線は薄いと思うんだが…」と、驚きが原因で挑発などの意図はないとする意見もみられた。
「この日の宇良は攻め込まれたところで選択した変化が見事にハマり逆転勝ち。また、“バンザイポーズ”の直後には『よしっ!』と言わんばかりに首を小さく縦に振るような仕草も見せていました。これらを踏まえ、相撲内容への手応えから思わず感情が高ぶってしまったことが“バンザイポーズ”が出た理由ではないかと見ているファンは少なくないようです。ただ、宇良はこれまでに“土俵外に出た相手が転落しないように抱きかかえる”、“幕内土俵入りの際に後続力士のことを考え位置取りを気にする”といったエピソードで知られるなど心優しく思いやりのある力士で、取組後に派手なジェスチャーを見せたことは過去、あまりありません。加えて、土俵下に転落した若元春が砂かぶり席に突っ込むように転がるという派手な落ち方をしていたことから、宇良のジェスチャーは転落した若元春を見ての驚きによるもので、相手を貶める意図は無かったのではという見方もされています」(相撲ライター)
取組後の報道では、今回の“バンザイポーズ”について相撲協会側から注意を受けたとは特に伝えられていない宇良。このようなジェスチャーをとった真相は不明だが、せっかくの好結果に自ら水を差さないためにも今後はなるべく控えることを意識した方がよさそうだ。
文 / 柴田雅人