国会議員に当選すると、地元の選挙区との移動のためのパスが支給される。その内容は選挙区に応じてJR全線パス、JR全線パス及び1か月当たり東京・選挙区間3往復分の航空券引換証、1か月当たり東京・選挙区間4往復分の航空券引換証から選択可能だ。
>>ぶっちぎりの大金持ちも 議員の資産公開、麻生太郎氏の6億円を超える議員も<<
航空クーポンは関西から西、東北から北と地域が定められている(一部の県は除く)。これより内側の地域は鉄道や新幹線移動となるのだろう。議員特権と言えば、月100万円が無条件で支給される文書通信交通滞在費が問題となったが、この議員パスも特権の一つとされてきた。
過去には国会議員がトラブルを起こしたこともある。プロゴルファーの横峯さくら氏の父親として知られる横峯良郎氏は、民主党の参議院議員を務めていた2011年に議員パスの不正利用疑惑が巻き起こった。横峯氏は生活基盤が宮崎県にありながら、沖縄県を地方の活動住所として届け出、航空券クーポンを得ていた。宮崎と沖縄の距離分を多く受け取ったことになる。
自民党の参議院議員だった鴻池祥肇氏(故人)は、2009年に『週刊新潮』(新潮社)で女性とともに静岡・熱海へ旅行し、その際にJR無料パスを使っていたと報じられた。報道の影響か、鴻池氏は官房副長官を辞任。「健康上の理由」とされたが、報道は言い訳の出来ないものであり、その影響は否めない。
国民民主党の衆議院議員だった山尾志桜里氏も、2021年にパスの不正使用の実態を『週刊文春』(文藝春秋)のウェブサイトである「文春オンライン」に報じられる“文春砲”を浴びた。山尾氏は議員パスを用いて、都内のマッサージ店に通い、買い物をする様子が報じられた。お手軽な感覚で使ってしまったということなのだろう。
こうして見ると、やはり求められるのは、それを使う人の意識次第と言えるかもしれない。