沖縄での春季キャンプを終え、3月2日に横浜スタジアムで行われたオープン戦でネフタリ・ソトに代わってファーストに入った倉本。不慣れな守備位置にもかかわらず、ノーアウト1、3塁のピンチでゴロをキャッチした際、瞬時の状況判断でホームでランナーを刺すナイスプレーを見せ、先発の坂本裕哉を助けた。
バッティングでもよりシンプルになったフォームから素直にバットを出すスタイルで、カープの島内颯太郎の147キロストレートをジャストミートし、セカンドへ強烈なライナー。ヒットにはならなかったが、内容のある打席だった。次の打席も左腕の玉村昇悟の内外に投げ分けるボールに対し、ファール2つを含む粘りを見せフォアボールを奪い取った。先頭打者として塁に出る貴重な働きで、戸柱恭孝のヒットでホームを踏むなどチームの勝利に貢献した。
今年のキャンプは当初ファームスタートが発表されていたが、同じ内野手の大和と牧秀悟がコロナの影響で合流が遅れ、入れ替わる形で一軍スタート。2人が帰ってきても一軍でキャンプを過ごし、実戦でも結果を残した。また昨年は主にショートを守っていたが、今年はファーストにも挑戦するなど内野ならどこでも守れる点もストロングポイントになっている。
昨年末には「約3カ月、チームも苦しい中で離脱したので悔しい思い、力になれなかった思いが強いです」と無念さを吐露したが、大けがをしたプレーには「後悔はなかった。やらなきゃよかったはないですね」と後悔は皆無。闘志を前面に出すスタイルは、自らとチームを鼓舞する貴重な存在。若手のホープ・森敬斗が足の捻挫と肉離れで開幕絶望となった今、円熟味を増した背番号5のユーティリティ性が、ベイスターズに欠かせぬピースとなる。
取材・文・写真/ 萩原孝弘