2月24日、巨人との練習試合でアクシデントが発生した。3回途中、一塁ベースカバーに走った先発の則本昂大が、捕球後にうずくまった。
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「右足を軽くひねって…」
これは、試合後の石井一久GM兼監督のコメント。軽傷ではあるようだが、昨季のチームの勝ち頭であり、開幕投手の有力候補が負傷交代となれば、チームの雰囲気は重苦しいものに一変する。だが、今年の楽天はそうはならなかった。
「次イニングから投げた早川隆久が好投しました。3イニングを投げ、パーフェクトに抑え込みました」(スポーツ紙記者)
早川の好投は大きい。だが、チームの雰囲気を暗転させなかったのは、昨季以上に活気のあるキャンプを送ったからではないだろうか。
「このまま順調に行けば、ルーキーが開幕マスクをかぶることになるかも」
そんな期待の声も多く聞かれた。
この日、ドラフト2位の即戦力捕手、安田悠馬(愛知大/右投左打)がバットとリードの両方で結果を出した。
「打撃力の高い捕手で、体格にも恵まれており、打撃力を活かすため、プロでは外野か一塁にコンバートされるのではないかとも予想されていました。でも、石井監督は『捕手』で育てていこうとしています」(球界関係者)
田中将大、則本、岸孝之、涌井秀章、松井裕樹…。楽天には日本球界を代表する投手が揃っている。そんな大先輩たちのボールを捕ることができるのだから、好捕手が育たないはずがない。
「楽天には実績のある投手が多く、そのため、キャンプはスローペースになります。今年はレギュラーを狙える新人が入ったので、良い意味で緊張感と活気のあるキャンプになりました」(前出・同)
安田は22日のヤクルト戦でもマスクをかぶったが、先発の田中はそのサインに何度も首を振っていた。「配球面での勉強不足」ではあるが、こんな意見も聞かれた。
「新人捕手への洗礼みたいなもの。そもそも、プロのピッチャーは高卒1年目の捕手がサインを出そうとしても、それを許しません。でも、大卒、社会人の捕手がサインを出そうとすると、『勉強させてやろう』という雰囲気になるんです。田中が首を振ったということは、安田に勉強させていたとも解釈できます」
コーチ経験のあるプロ野球解説者がそう言う。
攻守交代でベンチに戻る際、安田は味方投手の方に歩み寄り、何かを話し掛けていた。サインなどの確認もあったのだろうが、則本、早川らは笑顔で返していた。
投手を気持ちよく投げさせていたのだから、捕手としても合格点を与えても良さそうだ。「打撃力の高い捕手」は、チームのストロング・ポイントになる。経験豊富な炭谷銀仁朗もいる。則本の故障は気掛かりだが、今年の楽天投手陣は脅威となりそうだ。(スポーツライター・飯山満)