東京ヤクルト・高津臣吾監督が日曜朝の情報番組に出演した(1月9日)。同番組のコメンテーターを務めるOB・古田敦也氏との話も弾み、高津監督はその場で今春キャンプの臨時コーチ役を要請。古田氏も二つ返事で快諾した。氏の臨時コーチは昨年に続き、2年連続となる。
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臨時コーチの話は、事前に了承を取っていたのだろう。いや、そんなことはどうだっていい。かつてのクローザーと正捕手の会話は、昨年の日本シリーズMVPにも輝いた中村悠平捕手に及んだ。「ビシビシと、どんどん鍛えてほしい」という高津監督の要請には、エース候補の育成も含まれていたようだ。
「高津監督がチームの勝利と同じくらい気に掛けているのが、奥川恭伸の育成です。今年は投球スタイルを変えていくと思われます」(プロ野球解説者)
高津監督は、奥川に年間25試合以上の先発登板を求めている。
昨年はチームトップタイの9勝を挙げたが、先発登板数は「18」だ。育成に関するチームの方針で中9日以上の間隔を空けたためである。この登板間隔はキャリアを積み重ねていくに従って、通常ローテーションの中6日に縮まっていくと思われたが、そうではなかった。
「奥川は『力投型』のピッチャーです。変化球で打ち取ることも覚えてきましたが、力任せな投球スタイルを改めないと…」(前出・同)
力投型は連投がきかない。力任せとは違う、オトナの投球スタイルに導くのが中村の役目だ。こんな指摘も聞かれた。
「セ5球団は中村を甘く見ていました。それも昨季の敗因の一つです。今季はかなり厳しくマークされるはず。中村自身が攻守で活躍しなければ、投手陣の信頼は勝ち取れません」(球界関係者)
中村の責任は重大だ。力投型にとって、脱力投球ほどコワイと感じるものはないという。そこを中村がメンタル面を含め、牽引してやらなければならない。昨季ブレイクした左腕・高橋奎二、ドライチルーキー・山下輝(法政大)に対しても同様だ。成長過程にある若手投手をレベルアップさせなければならない。できなければ、連覇は厳しいだろう。
「高津監督は奥川をエースに育て上げたいとの思いも強い」(前出・プロ野球解説者)
昨季の後半戦、クライマックスシリーズ、日本シリーズの大事な初戦の先発マウンドを奥川に託してきた。その流れから、2022年の開幕投手も任せるのではないかとも予想されている。
20歳の若者に大役を任せるとすれば、やはり、正捕手・中村の責任も重大だ。
「開幕投手は、その年のチームの顔。看板投手が『中10日』ではチームの士気にも影響してきます」(前出・球界関係者)
奥川に開幕投手の大役を委ねるのか、臨時キャンプ終了後の古田氏を見れば分かるかもしれない。(スポーツライター・飯山満)