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佐藤は日本を代表するアートディレクター、クリエイティブディレクター。過去にも、ホンダステップワゴンなどのTVCF、SMAPなどミュージシャンのアートワークを始め、楽天、Tポイント、ヤンマー、ユニクロなどのロゴマークを手がけたことでも有名。N-BOX・N-WGN・N-ONE・N-VANに代表される「N」シリーズのブランディングには、2011年より携わっている。イベントには、CRAZY WEDDING創業者の山川咲氏、ホンダCMF(トータルカラーコーディネート)デザイナーの渋谷恭子氏も登壇した。
佐藤は「N」シリーズに関わり出した当初を振り返り、「その当時、ホンダは軽自動車が今いち売れていなくて、軽自動車っていうのが今後、社会の中で必要なものになっていくということで、力を入れてやろうって空気になっていた」と回顧。「名前から考えようってなって、シリーズを括る名として『N』にしましょうって提案しました。実は、ホンダが初めて作った軽自動車の名がN360。『N』はホンダにとっても重要な記号なんです。乗り物(NORIMONO)の『N』だと聞きました。だから、提案した当初はホンダの人たちから『え、N使うの?』って。『N』という名がホンダの永久欠番みたいになっていたんでしょうね」と話す。
その後、「N」シリーズは大ヒットを記録。佐藤は「2011年にスタートした時はチャレンジがテーマだった。でも、2017年頃にはもう『N』シリーズが成功して軌道に乗っていたので、リーディングブランドとして、もっと社会に何かを提示していった方がいいんじゃないかなって。それでできたのが“Nのある豊かな生活”を意味する『N FOR LIFE』です」と「N」シリーズのメッセージコピー誕生の秘話も紹介する。
「N」シリーズの仕事に関し、「未来予想は当たっていた」と自信たっぷりに述べ、「Nシリーズ的には思い通りと言うか、そこを狙ってやったので結果が思い描いていた通りになった。予想外だったのは売り上げがNo.1になったこと。10年間で一番売れた車になった。そこまでは予想できなかった」と感慨深げ。「ブランドを作ろうと思ってやってはきたけど、それにしてもすごいことだなって。軽自動車が来ている、求められているからやろうとなったけど、今は軽自動車が本当に中心になった」と驚きの表情で話していた。
(取材・文:名鹿祥史)