>>ヤクルト・高津監督がブルペンで投手を叱咤! 高橋の日シリ投球にも好影響? 春季キャンプで踏襲したノムさんの教えとは<<
チーム関係者によれば、米国行きのチケットがたまたま手配できたので、同日の帰国と決まったそうだ。
「第6戦を戦うために東京から移動してきた時、一緒にパスポートも持ってきたんでしょう。でなければ、こんなに早く帰国できるはずがありません」(ベテラン記者)
それだけではない。ヤクルトは来季の新コーチ招聘や配置換えなども発表している。日本ハム二軍コーチだった城石憲之氏を招き、また、ベテランの嶋基宏が来季から兼任コーチとなるという。宮出隆自ヘッドコーチも二軍担当となるそうだ。
「コーチ人事はシーズン後半には交渉を終えています。でも、日本一になった翌日に発表するとは…」(前出・同)
いや、早々に発表して、来季に向けて動き始めなければならない理由があったのだ。
「今年は正捕手に成長した中村悠平が3年契約を満了し、新たな契約を結ばなければなりません。球団は3年以上の複数年契約を再提示するようですが、シリーズの影響でまだ本人ときちんと話ができていないようです」(プロ野球解説者)
シリーズMVPにも選ばれた正捕手の流出となれば、一大事件だ。ヤクルトが駆け足で人事を発表したのは、中村の慰留交渉に専念するためだったのかもしれない。
「新外国人選手をすでに獲得した球団もあります。ヤクルトは外部補強に積極的ではありませんが、トレードなどの交渉は全てこれからとなります」(前出・同)
チーム再編の大幅な遅延も懸念されている。
昨年の11月といえば、国内FA権を取得した山田哲人の慰留騒動でチームは大揺れ状態だった。同じくFA権を取得した小川泰弘、石山泰稚の説得にも時間を要した。
「中村が新天地を求めるなんてことは考えにくい。でも、一発サインとはいかないかも。今季は規定打席到達者の中では、チームトップの2割7分9厘の打率を残しましたが、去年は不振で打率2割を切りました。3年以上の複数年提示は確実ですが、年俸面では大幅増は期待できないかも」(球界関係者)
査定の話をすると、球団は「1年」では評価してくれない。その選手が3年以上続けて好成績を残さなければ、大幅昇給とはならないのが一般的だ。中村は去年の成績が悪すぎた。必要不可欠な選手であっても、例外を認めるわけにはいかないだろう。
「中村とは時間をかけ、じっくり話し合わなければなりません」(前出・同)
日本シリーズ第6戦は屋外の「ほっともっとフィールド神戸」で行われた。試合開始前、ブルペンに火鉢が運び込まれた。“極寒のシリーズ”を制した勝因が山田たちの慰留だとすれば、連覇のカギはこれから始まる中村との交渉にあるようだ。(スポーツライター・飯山満)