しかし、その残り3試合で、「苦手投手」との対戦は避けられないようだ。北海道日本ハムファイターズ・伊藤大海との対戦だ。
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「前回登板のソフトバンク戦(10月21日)で勝ちが付きませんでした。栗山英樹監督は、なんとかしてやりたいと思っています」(スポーツ紙記者)
伊藤は「あと1勝」で“2ケタ勝利到達”となる。ルーキーながらシーズンを通して先発ローテーションを守り抜いてきた。新人王争いでも有力とされており、10勝目をプレゼントしてシーズンを終わらせてやりたいというのが、栗山監督の親心だ。
「29、30日に千葉ロッテ戦が入っています。そのどちらかで先発してくると予想されています」(前出・同)
ここまで伊藤は千葉ロッテ戦2試合に投げ、1勝0敗。千葉ロッテ戦の防御率は1.93。計14イニングで17奪三振も記録している。
新人王争いでも「有利」と伝えられているが、「並みのルーキーではない」と関係者を唸らせたのは、6月6日の巨人戦だった。
「対巨人の交流戦で先発し、勝利投手になりました」(前出・同)
巨人打線を苦しめたからではない。「打者・伊藤」に“野球センスの高さ”が見られたという。主催がセ・リーグの巨人だったため、指名打者制の使えない試合となり、伊藤は9番打者として打席に立った。
「1点を争う試合終盤ならともかく、得点好機でなければ、ピッチャーは『三振して来い』と言われます。特にパの投手は打席に立つ機会が少なくいし、ケガでもしたら…」(プロ野球解説者)
伊藤は3回表、先頭打者として打席に立った。
“怪我防止”の指示があったにも関わらず、伊藤はバットを振り続けたのだ。「出塁して」という闘争心からではない。「菅野サンの投球を見たい」とし、一球でも多く投げてもらうため、ファールで粘り続けたのだ。
アマチュア時代の伊藤を知る在京球団スカウトがこう続ける。
「彼は打撃センスも高いんです。指名打者制だった大学のリーグ戦でも、リアル二刀流で試合に出たこともありましたよ」
右肘の故障などで本調子でなかったとはいえ、菅野は「投手の打者」に粘られ、カチンときた。しかし、途中から伊藤の粘り続ける意図が分かり、「見たいなら、見せてやるよ」と、スライダーやカーブを投じてやった。
伊藤はホームべース付近に来てから曲がる変化球の軌道に敬服していた。試合中にも学習してくる新人はコワイ。栗山監督が“最後の采配”で「もう一度、チャンスを」と思うのは親心だけではない。優勝争いを繰り広げているチームから10勝目を挙げれば、伊藤の自信にもつながるはずだ。
伊藤のピッチングは“次期監督・新庄剛志氏”の眼にどう映るのだろうか。(スポーツライター・飯山満)