その件がMLB公式サイトに記載されたのが日本時間8月15日午後3時過ぎ。日本の各メディアは古巣・DeNAに「帰還か?」と質問を浴びせたが、それから6時間ほどが経過すると、「ピッツバーグ・パイレーツへの移籍が決まった」との“追加情報”が飛び込んできたのだ。
この数時間内の「クビと復活」、「シーズン2度目の移籍」というドタバタ劇について、米国人ライターがこう説明する。
「パイレーツが筒香を獲りたいと思い、ドジャース側に働きかけたと見るべき。リリース(自由契約)にしたのは、ドジャースが見返り(交換要員)は求めませんよ、という対応でしょう」
しかし、今回の移籍劇には布石があった。
巨人の新外国人選手の獲得と、ドジャースの途中トレードである。
>>ドジャース・筒香にまさかの巨人入りが急浮上? “事実上の戦力外”に「炭谷の放出は布石か」憶測飛び交う<<
まず、7月21日、ドジャースは優勝争いを続けるため、不足していた左打ちのスラッガーをトレードで獲得した。ブルージェイズからビリー・マッキニー外野手(左投左打)を獲ったのだが、その頃の筒香は絶好調だった。
「7月中旬から鋭い打球が増えてきました。8月の成績だけなら3Aで10試合、打率3割7分8厘、本塁打2、打点11と絶好調でした。『筒香を使うべきだ』と地元メディアも報じていました」(前出・同)
筒香の調子が上向きになっていることは、ドジャース首脳陣にも伝えられていた。同じ左打ちのスラッガーとして、筒香の昇格とマッキニーの獲得が天秤にかけられ、トレードによる外部補強に決まったわけだが、この選択によって、他球団にこんな解釈も広まった。「筒香はもう使わないようだ」と。
8月6日、巨人がレッズ傘下のマイナー選手、スコット・ハインマン外野手(右投右打)を獲得した。これについて、こんな見解も聞かれた。
「巨人の渉外担当者も筒香が『構想外』になったことは把握していたはず。交渉の余地は十分すぎるくらいあったわけです。探していたのは右打ちの外野手でしたが、無名のマイナー選手と筒香では、獲得後のインパクトが全然違います」(球界関係者)
そう言えば、筒香の古巣であるDeNAの本拠地・横浜スタジアムのゲートには「待っている」と記された背番号25のポスターが貼り出されていた。「25」は筒香がつけていた背番号だ。古巣との信頼関係を象徴するようなポスターである。
「筒香はDeNA以外の日本球団ではプレーしない」と巨人は諦めていたのかもしれない。
「パイレーツは補強資金が厳しい球団です。19年オフ、筒香は2年1200万ドル(約13億2000万円)でレイズと契約しました。その高額年俸の今季分なんですが、ドジャース移籍後もレイズが負担する約束になっていました。その約束はパイレーツ移籍後も継続されます」(前出・同)
今季終了と同時に、2年契約が満了し、フリーとなる。マイナーでの好調さがホンモノなら、来季以降も米球界でプレーできそうだが、高額年俸での契約は難しい。契約満了後、DeNAが正式にオファーを出すのでは。(スポーツライター・飯山満)