キャプテンとして初めて交流戦を迎える佐野恵太は「交流戦から浮上していくきっかけとなるよう、練習前に集まってもらって、ひとこと言わせてもらいました」と初日の試合前にナインにハッパをかけた。その言葉は同時に「ここまで僕もいいところで打てていなかった。ここから取り返すように頑張っていきたい」と自分にも向けられていたようだ。
打率は3割をキープし続け、出塁率も高いが、得点圏打率が低い。この状況は2019年の筒香嘉智に似通っている。この年のオールスター前、打率は.283で得点圏打率は低いが、出塁率は.405と優秀だったことに目をつけたラミレス前監督は、後半戦から筒香を2番に配置。すると打率は.423、出塁率.516と数字は跳ね上がり、チームも7戦5勝と波に乗り、首位のジャイアンツのファーストコンテンダーへ名乗りを上げたことがある。
佐野も開幕から4番を張っていたが、18日から3番としての役割に変更。「試合に対して何番で出ても、自分の感情は関係ない。与えられたところでしっかりと結果を出すだけ」と気を引き締め、23日の最終打席に2点タイムリーツーベースを放ち、25日にはバックスクリーン弾を放つなど、長打で打点が付き始めたことは心強い。26日の大敗した試合でも集中力を切らさず、売り出し中のオリックス・宮城大弥からの2安打を含む、今シーズン5度目の猛打賞で打率もリーグ3位となる.316と上昇させた。
これから3週間、ラミレス前監督が「セ・リーグよりパ・リーグのほうが100%レベルが高い」と言い切った強豪ぞろいとの戦いが続いていくが「いいピッチャーが来るのはみんなわかっている。全員で点を取りにいかないといけない。先に仕掛けていって、受け身にならないようにしたい」と、キャプテンはアグレッシブな姿勢が肝心と説いた。
「まだ90試合以上ある。ここから先、活躍できるように」背番号7のバットから、ベイスターズは反撃ののろしを上げる。
取材・文 ・写真/ 萩原孝弘