ライブ内容は、内場勝則や辻本茂雄らが出演し、寛平が座長を務める吉本新喜劇はもちろん、ネタコーナーには人気芸人が登場。中川家、千鳥、かまいたち、和牛らが寛平の50周年に華を添える(座員や芸人は各地によって変更される)。
今回、ツアー開催を記念して寛平にインタビュー。ライブのことはもちろん、明石家さんまや、千鳥とのエピソードを振り返ってもらった。
ーー今回のツアーの目玉のひとつが新喜劇。寛平さんが座長をやられていた頃の古き良き新喜劇が見られそうで、楽しみにしている方も多そうです。
あまり難しいことを考えず、定番の設定で分かりやすいものを。「これが吉本新喜劇~♪」というものをお見せしようと思っています。
ーーどうしたってコロナ禍で落ち込みやすい世間ですが、いらっしゃった皆さんに元気を与えそうですね。
めちゃめちゃ元気にします。変に“芝居、芝居”せずに昔の新喜劇をめざします。
ーー新喜劇のメンバーは、内場さんや辻本さんなど、ベテラン勢から東京の座員さんまで幅広くご出演されます。
(ツアー帯同メンバーには)信頼を置いていますよ。みんなすっごい腕がある。だから安心してできますね。
ーー座長をする際に意識することはございますか?
全然ないです。みんな仲間やし、みんなでやっていこうと。ある程度台本ができあがってきたんですけど、読んだ段階で“ここでこう来るな”とか分かりますわ。あと、僕がボケたときに、久しぶりにやる辻本からどうツッコミがくるのか……楽しみにしています。そういうのも考えていたら今から楽しみですよ。
ーーほとんどの公演に村上ショージさんがネタや新喜劇で参加されます。
ショージは安定感があって独特の空気を持っていますよね。ふだん劇場でネタやっているところも見てんねんけど、めちゃめちゃウケてますから。地方行ったら爆発するんちゃいます? このほかにも、みんな(ネタをする芸人も座員も)笑い取るし、安心しています。一番心配なのは、新喜劇で僕のセリフが多いところですわ。
ーー(笑)。芸歴50年の中で、ご自身の「これがあったから今がある」という仕事や出会いなどのターニングポイントを教えてください。
出会いと言うと、木村進(元吉本新喜劇座長。寛平と共に人気を博した)、うちの嫁、(明石家)さんま、比企啓之(寛平の元マネージャー)ですかね。特にさんまちゃんは大きかったですね。(さんまが)前説みたいなんをやっていたときに「頑張れよ」とか偉そうに言うとったんですけど、偉くなりすぎましたわ……。
ーー(笑)。
一番大きい仕事で言うと、比企が番組の制作会社に「寛平がギリシャに行って、246km不眠不休で走るスパルタスロンに挑戦するから撮りにきてください」って売り込んでくれたことがあったんですよ。そしたら、番組側は「さんまを引っ張り出してくれ」と。当時はバブルでしたけど、何千万円もかけて撮りに行くし、もしリタイアしたらさんまちゃんとの旅番組にするって。そこで僕が、さんまちゃんに「テレビが来てくれんねんけど、一緒にギリシャに行ってくれへんか?」とお願いしたら「寛平兄やんの頼みなら行ったんで」って来てくれることになって。
ーーそんなことがあったんですね。
それからギリシャに行って246キロ先のゴールに向けて走るわけですけど、足が豆だらけで歩かれへんようになって、194キロでリタイアしてしもうたんです。5、6キロ先にあったチェックポイントで、さんまちゃんやらスタッフやら嫁が待ってくれていて「もうすぐ来るぞ!」「あとはゴールに行くだけや!」って盛り上がっている中、僕が車で来たもんやから、みんなポカーンですわ。スタッフもうちの嫁もみんな泣いていたし、「しゃーないな」ってさんまちゃんも泣きかけていた……。
その番組を1月4日の昼に流したんですけど、番組の始まりが(視聴率)2%くらいだったのが、終わり頃になったら18%になっていて。それで(世間の)みんなに僕のことを知ってもらえるようになったんですよ。それからコマーシャルが4、5社来て、いろんな仕事が重なっていった。
でも、僕の中では“クッソー!”っていうのがあったんで、次の年にも行きました。さんまちゃんはそれにもついて来てくれて、結局ゴールもできたんですよ。さんま、比企、嫁には感謝ですね。一生懸命やってくれたんで、僕は走るだけやった。
ーー今や『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)の風物詩となっているマラソンですが、寛平さんが第一号。深夜のマラソン企画のオファーを受けた際、当時マネージャーだった比企さんが「24時間走らせましょうか?」と
そうやね。比企は僕がスパルタスロンでゴールしているのも知っているから、堂々とそういう話もできたんですよ。日テレ側も「え? できるの?」って……。それで24時間マラソンが生まれた。
ーー最近は若手の芸人さんがテレビにたくさん出られていますが、寛平さんは今の若手をどのように見ていらっしゃるんですか?
すごすぎるんちゃう。僕らが若い頃ってあんまりライバルいてなかったもん。今、どんだけいてんの(笑)!? こんなにぎょうさんいてるところで生き残るって大変ですよ。みんな面白いし上手いわ。
ーーそれは寛平さんたちレジェンド芸人さんの“笑い”を、教科書にしているからではないでしょうか。
いや、それはないと思うで(笑)。数年前、千鳥が(寛平もレギュラー出演している)『痛快!明石家電視台』(MBS)にゲストで出たとき、「番組を持ちたい」ってさんまちゃんに相談するコーナーがあったんですよ。「全然僕らダメなんですよ」って言うてるとき、僕が千鳥の方を向いて頬杖ついていてね。さんまちゃんから「兄さん何してんねん」って言われたから「僕ね、この手離したらこうなったままなんですよ」ってある動きをしたら、みんなバッと笑って。千鳥に「おい、お前らにこの芸やるわ」って言うたんですけど「僕らそんなところに向かってないですから。申し訳ないですけど、いりません」って返されて(笑)。だからみんな僕とかショージの芸は望んでないんですよ(笑)。
ーーそんなことがあったんですね(笑)。最後にツアーに向けてのPRメッセージをお願いします。
思いっきりやりますよ。「これが吉本新喜劇~♪」というものをお見せします。
取材・文:浜瀬将樹
『芸能生活50周年+1 記念ツアー』
出演:間寛平ほか
※日程についてはこちらでご確認ください
https://kanpei50th.yoshimoto.co.jp/