調印式で頭に酒をかけられるなどして怒り心頭の上野は、入場ゲートの上に飛び乗ってケブラーダを見舞うなど得意の空中戦を駆使して攻撃。キャリアでは先輩にあたる高尾も意地を見せて、奈落式のディープインパクトを繰り出すなど厳しい攻めを見せた。両者ともノンストップの目まぐるしい攻防が続いたが、25分過ぎ、上野が腕を決めて変型ストレッチボムを決めたがカウントは2。ならばと上野はドロップキックからWRをさく裂させて3カウントを奪取。5度目の防衛に成功している。
試合後、今林久弥GMから「誰か闘いたい相手はいますか?」と問われると、上野は彰人を指名。彰人がリングインすると、上野は「彰人さんとは、なんだか近いようで遠いまま、今日までずっと来てて。このベルトを懸けて、もっともっと近付きたい」とアピール。
彰人は「僕のことを指名してくれて、俺は本当にありがたいと思っています。だって僕はもう君たちにはもうかなわないと思っていますから。かなわないと言っただけで、勝てないとはひと言も言ってない。僕はデビューしたときから、人の足を壊し続けて十数年。君が味わったことがないプロレスが、僕にはあるんです!」と応じた。
この後、DDTはタッグリーグ戦の開幕を控えることから、今林GMは同リーグ戦の閉幕後の29日・博多大会でのタイトル戦を提案。両者が受諾し、同大会での実現が決定した。
バックステージで上野は「ホントに楽な試合なんてない。お客さんがいなくても配信で見てくれて。会場にいなくても、こんなにもプロレスは痛くて楽しいんですね。高尾さん、楽しまないって言ったけど、楽しかった。次の挑戦者は彰人さん。僕があまり知らないタイプのレスラーですからね。彰人さん、どんな理由だろうが、対戦相手にかなわないなんて言ってたら、もう僕はかなっちゃいますよ。残念ながら彰人さんがもう勝つことはないです。僕は彰人さんを乗り越えて、彰人さんを楽しんでこのベルトを防衛します」と自信を見せる場面も。
対する彰人は「指名してくれたことはホントに光栄。サウナ部(The 37KAMIINA)の連中にはかなわないと思っていました。それはただ、身体能力とかスタミナ、運動神経の部分でかなわないと思っているだけで、プロレスはそれだけじゃないから。ずっと自分の特徴である足攻めを磨き続けて、今ここまでやってきて。彼はたぶん、その本気のプロレスを味わったことがない。彼はそれに対抗できるのかなって僕は言いたい。僕は身体能力とかはないかもしれないけど、足攻めという技術だけだったら世界に通用すると思っているから。自分と同じ世代の翔太さんや高尾が負け続けてる以上、世代的なものでも悔しいことがあるし、ここでアイツにちょっと足を止めてもらおうかなと思います」と王座獲りを見据えていた。
上野はサイバーファイト6.6埼玉・さいたまスーパーアリーナ大会で、プロレスリング・ノアとの対抗戦に出陣する。まだまだ負けられないところだ。
◆DDTプロレス◆
『MAX BUMP 2021』
2021年5月4日
東京・後楽園ホール
無観客試合
▼DDTユニバーサル選手権試合(60分1本勝負)
<王者>○上野勇希(23分39秒 片エビ固め)高尾蒼馬●<挑戦者>
※WR
※上野が5度目の防衛に成功。
(どら増田)