4月14日の東京ヤクルト戦も落とし、5連敗。DeNAは今季最多の借金9で最下位に沈んでいる。そんな中で、開幕から全17試合に3番で出場し、同日も逆方向の右翼席に5号ソロアーチを放ったのが、新人の牧秀悟内野手(中央大)だ。
「日本代表の稲葉篤紀監督が視察しています。お目当てはヤクルトの山田哲人選手だったようですが」(スポーツ紙記者)
同日の山田は2本の本塁打を放ち、稲葉監督にもしっかりとアピールができたようだ。しかし、最下位・DeNAの中で猛打を振るう牧にも興味を示していた。
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「牧の代表招集は十分にあり得ます。大学日本代表の4番でもあり、NPBスタッフも当時の活躍を見ています」(球界関係者)
目下、牧の「打点17」はリーグトップ。DeNAの三浦大輔監督も「牧の前に走者をためて」と、その勝負強さを認めていた。
ところが、である。その牧の守備位置が変更になりそうなのだ。侍ジャパンの常連メンバーとの兼ね合いも考えなければならなくなった。
「試合後、三浦監督は(この日代打で今季初出場した)ソト、オースティンの両外国人選手のスタメン起用も示唆していました。外野手のオースティンはともかく、ソトと牧を同時に使うとなれば…」(前出・同)
ソトは2018、19年の本塁打王であり、昨季も本塁打25、打点78を稼いだ優良外国人選手である。しかし、守備がヘタクソで、三浦監督は「負担の少ない一塁手に固定」との構想だった。一連の新型コロナウイルス禍で来日が遅延し、「一塁・牧」でスタートしたのだが、構想通り、ソトを一塁に回すとなれば、牧のポジションを考えなければならない。
「いや、牧は元々二塁手です。大学時代と同じ二塁を守らせればいいだけのこと」
多くの関係者、特にDeNAサイドからそんな声が聞かれた。
二塁・牧。これを侍ジャパンに重ねてみると、ちょっと厄介なことになる。広島・菊池涼介、ヤクルト・山田とポジションが重複してしまう。守備の名手・菊池だが、今季は打撃も好調だ。打線の得点能力を考えると、山田を外すことはできない。これまで、侍ジャパンは「二塁・菊池、一塁・山田」というポジションで、何度か打順を編成してきた。ここに牧が加わると、指名打者を予定していた他選手の起用にも影響してくる。
牧の代表招集は、注目ポイントとなりそうだ。また、DeNAの両外国人選手のスタメン起用について、批判的な意見もある。
「チーム防御率が4点台後半。12球団ワーストです。外国人選手をスタメン起用する目的は打線強化であり、投手陣の失点を打撃で補おうとしているのでしょう。気になるのは、オースティン、ソトの2人にまだ実戦感覚が戻っていないこと」(前出・プロ野球解説者)
両外国人選手のスタメン起用がマイナスに転じてしまうかもしれない。ソトを本来の二塁手でスタートさせ、様子を見る選択肢も考えられるが、打撃好調の牧の打順だけは動かさない方が良さそうだ。
オースティン、ソトが本調子になるまでは…。三浦監督、稲葉代表監督の視線が牧のバットに注がれている。(スポーツライター・飯山満)