中田は「4番・一塁」でスタメン出場したが5回裏1死一、二塁の場面で空振り三振を喫した後ベンチでバットをたたき折り、その後6回表の守備から途中交代。一夜明けた8日の試合前練習に、なぜか右目のまぶた付近を大きく腫らした状態で参加した。
この中田の負傷について、チームを率いる栗山監督は前日にバットを折った直後、ベンチ裏でつまずいて転倒したことが原因と報道陣に説明。また、6回表からの途中交代はこの負傷が原因であったことを明かした。
8日の試合を欠場後9日からスタメンに復帰したが、ネット上には「ベンチで暴れた後に転倒負傷って何やってんだよ」、「チームの士気を乱すような行動は慎んでほしい」といった苦言や批判の声が挙がった。ただ、過去の球界では中田がかわいく思えるような行動をベンチ内で起こし、結果チームに大迷惑をかけてしまった選手たちがいる。
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1989年に阪神が獲得した助っ人・フィルダーは、同年8月終了時点で36本塁打をマークするなど主軸としてチームを牽引。ところが、9月14日・巨人戦で空振り三振を喫したことに激昂しベンチ内でバットをたたきつけたところ、そのバットが跳ね返り右手に直撃してしまった。
フィルダーは同戦までに「.308・38本・81打点」と好成績を残していたが、バット直撃で右手小指を骨折してシーズンを棒に振ることに。また、この一件が関係したかは不明だが、シーズンオフに阪神との契約延長交渉がまとまらず同年限りで退団となっている。
現在巨人で一軍投手コーチを務める杉内俊哉は、ダイエー時代の2004年にベンチで大暴れし球団の怒りを買っている。同年6月1日・ロッテ戦に先発した杉内は、2回まで7点を失う大乱調。すると、不甲斐ない投球に感情を抑えられなかったのか、2回表が終了しベンチに戻った直後、突如としてベンチを両手で殴りつけた。
ベンチを殴った直後から両手が赤く腫れ上がった杉内は、途中降板して病院に直行したところ「両手の第5中手骨骨折」で全治3カ月と診断されてしまう。これを受けた球団は杉内に「罰金100万円(後に600万円に増額)・謹慎10日」と重いペナルティを科した。なお、その後杉内はレギュラーシーズン中には復帰できず(ポストシーズンでは復帰)、最終成績も「2勝3敗・防御率6.90」とサッパリだった。
杉内がベンチを殴り負傷してから約15年後の2019年には、DeNA・パットンがベンチ内の冷蔵庫を殴りつける騒ぎを起こしている。同年8月3日・巨人戦で登板したパットンは、1アウトも取れないまま2点リードを同点に追いつかれ降板。ベンチに戻ったパットンは、そのままベンチ内に設置されていた冷蔵庫を両手で複数回殴打した。
パットンはこの行動により「右手第5中手手根関節の脱臼骨折」を負い、治療のため戦列を離れ母国アメリカに一時帰国。結果的にレギュラーシーズンを棒に振るはめとなった(ポストシーズンでは復帰)。当然球団側もこの問題行動を見過ごすことはなく、パットンに罰金500万円の処分を下している。
一時の怒りに身を任せた結果、全員長期離脱をしいられる結果を招いた3名。欠場が1日だけで済み、球団から特にペナルティも科されなかった中田は逆に幸運だったのかもしれない。
文 / 柴田雅人