2008年ドラフトで2位指名を受け西武に入団した野上は、2009~2017年にかけ「207登板・53勝56敗2セーブ7ホールド・防御率4.03」をマーク。同年オフに3年総額4億5000万円(推定)という条件で巨人へFA移籍した。
しかし、巨人加入後の野上は昨季まで「38登板・5勝6敗4ホールド・防御率4.53」と振るわず、2019年10月に左アキレス腱を断裂した影響で昨季は一軍未登板。同年オフには1億2000万円ダウンとなる年俸3000万円で契約を更改したが、一部ファンからは「残しても意味がない」と辛らつな声も寄せられていた。
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ただ、この試合で3番手として7回裏から登板した野上は、「2回無失点・被安打2・4奪三振」と好投。野上が一軍マウンドに上がったのは2019年8月6日・中日戦以来実に581日ぶりだったが、先発のサンチェスが「4回3失点(自責2)・被安打4・2奪三振」、2番手・平内龍太も「2回2失点・被安打2・2奪三振」と失点を喫する中で堂々の投球を見せた。
野上に、ネット上には「一軍で見るのは久しぶりだったけど、今日の投手陣の中では一番良かった」、「ストレートは浮き球もあったが変化球は低めに集まってて安心して見れた」、「今後の結果次第では開幕一軍入りも十分に可能性がありそう」といった反応が多数寄せられている。
同時に、「野上は復活の兆しが見えたな、ここからの頑張り次第では大竹みたいになれるぞ」、「不振からはい上がった大竹と同じ道をたどってほしい」、「大竹のようにここからもう一花咲かせてくれることを願いたい」と、同僚の大竹寛を絡めたコメントも複数見受けられた。
「一部から引き合いに出されている大竹は広島(2002-2013)で『246登板・74勝78敗1ホールド17セーブ・防御率3.75』といった数字を残したものの、巨人(2014-)では故障・不振に陥り2018年まで『65登板・23勝21敗・防御率4.01』と今一つだった投手。ただ、同年オフに巨人監督に復帰した原辰徳監督の意向でリリーフに転向したことも功を奏し、2019年から昨季までは『61試合・5勝2敗24ホールド・防御率2.68』と復調しチームのリーグ2連覇に貢献しています。そのため、2018年までの大竹と同じように故障・不振に苦しんでいる野上にも劇的な復活を果たしてほしいと願っているファンは少なくないようです」(野球ライター)
今春キャンプは二軍スタートだった野上だが2月1日の初日からブルペン入りするなど調子は良好で、翌2日に二軍キャンプを視察した原監督が「どこかでチャンスを与える」と語ったと伝えられていた。今回の好投は原監督の言葉を胸に、その後もしっかりと調整を続けていたことの証明だといえるだろう。
同戦後に宮本和知一軍投手チーフコーチは「リリーフ陣の中で調子が悪いのがいたら(代わる候補は)野上が筆頭。滑走路で待機している感じ」と、開幕一軍入りの可能性を示唆した。好投を足掛かりに復活を遂げることはできるだろうか。
文 / 柴田雅人