「宝探しイベント」とは、主催者がある場所に宝を隠し、見つけた参加者に豪華プレゼントを用意するというもので、現在に至るまで様々な形態で行われている。
そんな「宝探しイベント」だが、時折「参加者が集まりすぎて中止」という事態に発生することがある。
1982年(昭和57年)4月、角川春樹事務所と東映は春の超大作映画『化石の荒野』(監督:長谷部安春)を完成させた。この作品は殺人の濡れ衣を着させられた刑事が、身の潔白を証明するため事件を追い、その背後に隠されていた5トンの金塊を巡る巨大な陰謀を暴くという内容であった。
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角川事務所は、この映画の宣伝のため、1000万円分の商品券を用意。東京都内のどこかに隠された7つのヒントを探り、商品券を手に入れようというものだった。
メディア戦略に長けた角川事務所はラジオコマーシャルでヒントを流し、第一の関門である大井競馬場へ参加者を集めた。しかし、1000万円に釣られ、なんと予想を大きく超えた1万8千人もの参加者が集まってしまったのだ。
さらに、そこから謎解きの紙を配り、謎が解けるとチェックポイントである東京都町田市の小田急線鶴川駅へ移動できる仕組みになっていたのだが、2万人近くの参加者がいたため、謎解きの答えはすぐに共有されてしまい、3000人もの参加者が一気に鶴川駅前に集まってしまったという。
本来であれば、謎を解いた先着500人が鶴川駅に待機させていたバスに乗り込み移動する段取りだったのだが、3000人が一気に駅に集まってしまったため大パニックになり、騒ぎを聞きつけた警察も集まってしまった。
結果、収拾がつかず角川事務所から「日を改めて別ルートで開催する」と説明しその場は収まったが、「宝探しイベント」は再開されることはなかったという。
また、肝心の超大作映画『化石の荒野』だが、配給収入2億6000万円程度に収まり、宣伝費2億3000万円を回収しただけで製作費は丸々赤字となり、ニュース沙汰にまでなった宝探しイベントが、直接動員に結び付くことはなかった。