春季キャンプ4日目のこの日、九里は佐々岡真司監督が見守る中ブルペンで347球もの投げ込みを敢行。報道によると、この球数は今春キャンプでは巨人・桜井俊貴が1日に記録した201球を大幅に超える、12球団投手最多の球数になったという。
また、広島の春季キャンプでは過去に現役時代の佐々岡監督が330球(2001年)、黒田博樹氏(現野球解説者)が343球(2002年)を投げたことがあるというが、九里は同日の投げ込みで両OBの記録も更新。投げ終わるまでには約2時間を要したというが、疲れを感じさせない充実した表情で引き揚げたという。
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今回の一件を受け、ネット上には「3試合分の球を一日で投げるなんて正気の沙汰じゃない」、「これだけの球を投げた九里はもちろんだが、その球を受けた捕手の疲労も凄そうだな」、「明らかに投げすぎな気がする、故障とかしなければいいけど」といった反応が多数寄せられている。
一方、「九里のブルペンでの投げ込みは別に今に始まった話じゃない」、「明日は休養日ってことも織り込んでるだろうしちゃんとケアはするでしょ」、「時代に逆行していることは否定できないが、九里はこれで今まで故障したことが無いからなあ…」と“問題ナシ”とするコメントも複数見受けられた。
「今回350球近くを投げ込み話題となった九里ですが、以前から春季・秋季キャンプでは当たり前のように100球、200球を連日投げ込み調整を行っている投手。2014年の秋季キャンプでは、18日間で計2026球を投げ込んだこともあります。また、昨年の開幕延期期間にはただ投げ込むのではなく、低酸素マスクを着け50メートルダッシュを繰り返した後に110球を投げ話題となりました。球数が球数なので肩・ひじの故障を心配するファンは多いですが、九里はプロ入りからこれまで故障離脱したことがないため、本人には一番合っている調整方法なのかもしれません」(野球ライター)
“投手の肩・ひじは消耗品”という考えが浸透している現在は、1回のブルペン入りで80~100球を投げる投手がほとんど。プロ入り後、間もない若手や不振が続く中堅・ベテランが200球近くを投げ込み首脳陣にアピールする例もなくはないが、同程度の球数を恒常的に投げ込んでいる九里は球界でも非常に珍しい存在といえるだろう。
九里は2日にもブルペンで120球を投げているが、同日に「特別なマウンドに立てるようにレベルアップしないと。妥協せずにやりたい」と語ったことが伝えられている。早くも467球に達した今春キャンプでの投げ込みは、故障明けのエース・大瀬良大地から開幕投手を奪うという気合いの表れでもあるのかもしれない。
文 / 柴田雅人