結論から先に言えば、その噂は本当だった。体作りの一環でキャンプ中のメニューが見直されたという。これも、ソフトバンクに対抗するためだそうだ。
しかし、若手選手のモチベーションが心配だ。
「今季、『空席のポジション』はセカンドしかないようです。昨季後半、松原聖弥、若林晃弘が頭角を現しましたが、今年は出場機会が激減しそう。松原は外野手、若林は登録こそ内野手ですが、外野での出場が多かった。フリーエージェントで梶谷隆幸外野手を獲得し、外国人選手も新たに2人獲得しています」(ベテラン記者)
梶谷の巨人移籍が決まった昨年12月、「1番・梶谷、2番・坂本、3番・丸、4番・岡本」の打順構想が各メディアで伝えられていた。
梶谷、丸、外国人選手とのレギュラー争いとなれば、相当キツイ。
「巨人はレギュラーと控え選手の力の差が大きい。ソフトバンクはレギュラーが故障しても、新しい選手が出て来て、そのままレギュラーに定着するような活躍も見せています」(前出・同)
「打倒ソフト」を果たすには、成長過程にある松原たちを“ヤル気”にさせなければならない。
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とは言え、今年の野手は「総動員になる」との指摘も聞かれた。
「やはり、先発投手の人材難は解消されませんでした。菅野、戸郷までは計算できます。でも、3番手以降は…」(プロ野球解説者)
改めて、昨季のデータを見てみると、巨人投手の中で規定投球回数に達したピッチャーは、菅野智之しかいない。戸郷も100イニング以上を投げたが、勝ち星は9勝。2ケタに届いていない。3番手以降を狙う今村、サンチェスも安定せず、メルセデス、畠らも故障明けというリスクを抱えている。
そうなると、菅野以外が投げる試合は“乱打戦”になる可能性が高く、それにより、野手は代打、代走、守備固めなどでの途中出場も多くなる。松原たちが昨季以上に活躍しなければ、3連覇はない。
「主力、一、二軍、そして、三軍に分けてキャンプインさせたのは正解だったかも。レギュラー奪取という同じ目的を持った中堅クラスでまとまれば、良い意味で連帯感も強まります」(前出・同)
一軍キャンプがスタートした宮崎・サンマリン球場だが、スタンドに観戦者がいないせいか、選手の声がかなり響いている。
先発投手の不安定さを埋める野手陣の奮闘が「連覇のカギ」となりそうだが、チーム関係者によれば、原辰徳監督は昨季中継ぎだった中川皓太のクローザー転向案を温めているという。
中川には圧倒的な球威はない。どちらかというと、打ち損じのゴロ・アウトを積み上げていくタイプだ。先発陣の不安定さに加え、新クローザーを育てるとなれば、9回最後のマウンドを守り切れず、延長戦に突入する試合も自ずと増えていく。キャンプ中の食事を“大盛り”に変えたのは、長丁場を戦うためでもあるようだ。(スポーツライター・飯山満)