2月1日、春季キャンプが始まった。既報通り、巨人はベテラン、主力選手組と、一軍、二軍、三軍に分けての分離スタートとなった。取材もオンラインによる合同会見に限られているため、選手の詳細な状況などは把握しきれないが、期待のドライチルーキー・平内龍太投手(亜大)が「プロの壁」にぶち当たったようだ。
翌2月2日の朝刊では宮本和知投手チーフコーチが絶賛し、原辰徳監督も「実戦的な投手」と評価していたが、それだけはなかった。
「宮本コーチが平内に期待しているのは本当です。平内と、ドラフト4位の伊藤優輔投手(三菱パワー)を指して、『覚えておいて』と解説者や各メディアにアピールしていました。この2人を一軍で使う構想なんだと思います」(ベテラン記者)
その平内がブルペン入りし、投球練習をしていた時だった。原監督がその後方に現れた。その後、4、5球を投げると、原監督が口を開いた。
「硬いか? プロのマウンドはみんなそうだぞ。メジャーリーグも。神宮(球場)がちょっと柔らかいけど、慣れないとだめだぞ」
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キャンプ地・宮崎のマウンドは東京ドームに合わせて造られている。傾斜、土の硬さなどだ。
素人目には分からなかったが、平内はプロの硬いマウンドに戸惑っていた。原監督の「神宮はちょっと柔らかい」発言に全てが集約されている。同球場は大学野球の聖地でもあり、平内はその柔らかいマウンドの舞台で活躍してきた。
「大学卒の投手がみんな通る道。慣れるのに個人差はありますが」(前出・ベテラン記者)
もう一人の期待の新人・伊藤だが、こちらは社会人野球で東京ドームを経験しているからか、首脳陣から“違和感”を指摘されていない。
このまま投げ込み練習を続けていれば大丈夫だと思われるが、気になる情報も聞かれた。
「平内は在学中に右肘を故障し、昨年3月にメスを入れています」(球界関係者)
硬いマウンドへの適応に時間が掛かれば、投球フォームも崩れてしまう。右肘の故障を再発させなければ良いのだが…。
平内はキャンプ初日にも関わらず、117球の投げ込みを行った。この時期、開幕一軍入りの当落ライン上にいる投手であって、100球超えの練習はしない。硬いマウンドに対する違和感を払拭させるため、無理をしたのではないだろうか。
宮本コーチから新人アピールの発言を聞いた関係者によれば、「平内は先発、伊藤は中継ぎ」を予定しているそうだ。先発で使う理由は、巨人首脳陣も手術の後遺症を心配しているからだ。先発に固定すれば登板間隔が決まり、右肘への負担も小さくなる。だが、平内が先発で固定できたとしても、巨人の先発投手不足の課題が解消されたわけではない。平内には菅野、戸郷に次ぐ活躍をしてもらわなければ、3連覇は厳しいだろう。
プロのマウンドに早く慣れさせるため、東京ドームでのキャンプ組に新人投手たちを加える方法もあったのだが…。(スポーツライター・飯山満)