半年前に付き合っていた男性は、同じ職場の同僚でした。彼は高い理想を持って仕事に邁進するビジネスマンで、付き合っていた当時は彼の実直な人間性が熱意に現れていると思っていました。
社内恋愛で彼と付き合うようになって半年が経った頃、私の家族と彼で食事をすることに。小さな会社を経営している両親と大学生の弟が集まってくれたので、私は家族に彼との婚約について話すつもりでいました。
事前に彼とも相談をしており、その前の週末には二人で手土産を選んだりしていました。
そして当日、父が予約してくれたレストランに向かうと、すでに私の家族は揃っていました。人当たりもよく、仕事にも真面目に取り組む彼に両親の印象も悪くはない様子。
しばらくみんなで食事を楽しんでいると、彼は弟に通っている大学のことを質問し始めました。
ですが、弟が今通っている大学を答えると、彼の態度は一変。彼は弟の言葉を鼻で笑うと、弟が通っている大学がいかに劣っているかを話し始めました。それまで和気あいあいとしていた食事の席が一気に凍りつきます。
>>彼女の体に名前を記す男~本当にあった怖い彼氏~<<
しかし、彼はそれに気付いた様子もなく、今度は父の会社についても口を出し、自分が今行っている仕事がどれだけ素晴らしいかをひたすら話し出しました。
彼はビジネスの第一線で活躍しているという自負があったのでしょうが、長年コツコツと会社経営をしてきた父は彼の言葉に大激怒。食事会は最悪の空気で終わり、婚約の話なんてできるはずもありませんでした。
食事会の後、どうしていきなりあんなことを言ったのかと彼に聞くと、彼は悪びれた様子もなく、「紗由と結婚したら家族になる人達だからこそ、良かれと思ってアドバイスをした」とのこと。
彼に悪気はないのはわかっていたのですが、家族を簡単に傷つけるような人とは結婚できないと思い、すぐに別れることを決意しました。
取材・文 篠塚まちね
写真 Tatsuo Yamashita