以前、5人兄弟の四男という男性とお付き合いしていた事があります。
子供の頃は家事を家族で分担していたということもあり、彼も料理や掃除、洗濯が得意で、休みの日にはよくお互いの家で料理を作りあったりしていました。
そんな彼には、大家族ならではの癖のようなものがありました。
それは、自分の持ち物にすべて名前を書いているということ。仕事に使うスーツやかばん、傘に名入れしているのはもちろん、冷蔵庫に入れてある飲み物や私服のTシャツ、更には家電まで……家に遊びに行くと、あらゆるものに彼の名前が書いてあるんです。
彼は「実家だと名前を書いて置かないとすぐに他の兄弟に取られるから」と言っていたので、最初はそういうものかと思って私も納得していました。
ですが、彼の家に泊まってエッチをした時、彼は私の腰のあたりに触れながら「彫るならこの辺かな……」と呟いていました。
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行為が終わった後、さっき呟いていた言葉の意味と尋ねると、彼はパソコンを開いて、私にあるサイトを見せてくれました。
そこに表示されていたのは、女性の体に刻まれた数々のボディタトゥー。彼は「将来的に結婚を考えているから、俺の名前を体に彫ってほしい。俺もゆりかの名前を腕に入れるから!」と私に懇願してきました。彼は私の体にまで、自分の名前を書こうとしていたのです。
彼のことは大好きでしたが、いくらなんでも名前をタトゥーにする気にはなれませんでした。それから、彼とは徐々に距離を取り、最後は自然消滅してしまいました。
その後、彼の「癖」を受け入れてくれる人は現れたのかと、ふとした時に思い出します。
取材・文 篠塚まちね
写真 yto