2年前の大学時代に付き合っていた彼氏とは、サークルの飲み会で親しくなって付き合うようになりました。性格はちょっと不思議というか、空気の読めないタイプでしたが、その不思議さが彼のいいところだと思っていました。
>>何に対してもこだわりが強すぎる彼~本当にあった怖い彼氏~<<
付き合って1か月半頃が経ち、初めてホテルではなく彼の家にお泊りをすることに。食事を取った後に彼からお誘いをしてくれたので、私は身を委ねることにしました。
彼のベッドで唇や指先での愛撫をされた私は、気分も盛り上がってすっかりその気になっていました。しかし、彼は「あっ、ちょっと待って!」といきなり動きを止めました。
何事かと思ってみると、彼はごそごそとリモコンを取り出し、なんと行為中にテレビを見始めたのです。その瞬間、あれほど高ぶっていた私の熱も一気に冷めていきました。
せっかく二人で盛り上がっている最中に、テレビを見るというだけでも許せないんですが、もっと最悪なのは、つけたテレビの内容がバラエティだったこと。せめて、ロマンティックな恋愛映画とかだったらまだわかるのですが……。笑いをこらえながら行為を進める彼に呆れたものの、付き合ったばかりなのにすぐ別れるのも嫌だったので、その場はなんとか堪えました。
それからも、彼は行為の際にテレビをつけてバラエティ番組を見ることがあったのですが、別れを決心したのはある冬の日でした。
その日も、私はテレビを見ながら彼に抱かれたのですが、彼はまたピタリと動きを止めると、今度はテーブルの上においてあった食べかけのみかんを食べ始めました。
流石にこれは耐えられなくなり、私は彼を突き飛ばすと、服を着て家を出ていく準備をしました。すると、彼は必死に私のことを引き止めてきたんです。一応、話を聞いてみると、彼は「風邪っぽかったから、ビタミンを取ろうと思って」と意味不明なことを言い出しました。
その後、すぐに彼とは別れたんですが、この時期スーパーに並んでいるみかんを見るたびに、あの時の彼のことを思い出します。
取材・文 篠塚まちね
写真 Shunichi kouroki