少し前に付き合っていた恋人は、フランスで製菓の勉強をしたパティシエでした。
アパレル関係の仕事をしている私は、友人の紹介で彼とお付き合いをすることに。料理上手で笑顔が素敵な彼に、私は夢中になりました。
ある有名パティスリーで働いていた彼は、ことあるごとにケーキの試食を私に頼んできました。甘いものは好きだし、彼の作るケーキはどれも美味しいものばかり。仕事が休みの度に、私は彼の家で試作品のケーキを食べるようになりました。
ですが、さすがにそんな生活を二か月も続けていると、私の体型にも変化が出てきてしまいました。体重が増えて、今まで穿いていたスカートやジーンズがきつくなってしまったのです。
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仕事中は自分が勤めているブランドの服を着なければいけないのですが、持っている服のサイズが合わなくなってきたこともあり、ようやくダイエットを決意しました。
運動と食事制限をするために、彼に「しばらくケーキは食べられない」と伝えると、彼はそれを必死で止めようとしてきました。
その時は、試作品を食べてくれる人がいなくなるのが嫌なのかな、と思ったのですが、実際に私がダイエットを始めて体重が減り始めると、彼は「余計なことをするなよ!」と声を荒げました。
ダイエットをしただけで辛く当たられるのは理不尽だと思って理由を尋ねると、彼は自分の恋愛対象が太っている女性であることを教えてくれました。
それも、元々痩せている女性を太らせて、自分好みの体型に育て上げることに快感を覚えるタイプだというのです。
申し訳ないけれどその嗜好に付き合ってあげることはできないため、それからすぐに彼とは別れることになりました。
ふとした時に彼のことを思い出すのですが、彼は今も自分の理想を追い求めているのでしょうか……。
取材・文 篠塚まちね
写真 Jeremy Keith